ほうれい線
人間の顔にはほうれい線というものがある。鼻の両側から口の両側に延びる、頬の筋肉と口の筋肉の境界のような線だ。ところが、私は最近妻に教えてもらうまで、このことばを知らなかった。妻の言うところによると、女性は年とともにこのほうれい線が目立つようになるので、それをなくすこと、あるいは目立たなくすることが美容のポイントなのだという。これまで私は人間には誰でもこのような線があるものだと思っていた。たいていの漫画や似顔絵にも描かれているではないか。
そこで、女性アイドル達の写真を見てみると、たしかにほうれい線は目立たなかった。でもそのことで彼女たちがきれいだとか、可愛いとかも思わなかった。彼女たちの厚化粧への嫌悪感もあったからかもしれないが、ほうれい線のない顔は、むしろノッペラボーの不気味な顔のように見えた。今振り返ってみると、私は頬にえくぼができる女性や口の周りにきりっとしたほうれい線のある女性を魅力的だと感じていたように思う。
それでは、女性がなぜほうれい線を気にするのか。自分が若く見られたいのに、ほうれい線が目立つと年令を感じさせるから、それを目立たなくしたいと思う気持ちは分からないではない。でも私にはそれ以外の理由は思いつかない。インターネットで「ほうれい線」と検索すると、ほうれい線隠しの化粧品や整形手術の広告のオンパレードだ。それをを見て、女性たちがこういう商業主義に乗せられているのではないかとさえ私は感じた。もちろん、何を好むかは人それぞれだから私の好みを押しつけるつもりはないが、女性はもっと自分の顔に自信を持って欲しいと思う。深いほうれい線の刻まれた顔も、その女性の誇るべき年輪ではないかと思うのである。
あげる・してあげる オランダの冬 ほうれい線 ムクドリの警戒心
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