茶々のセリフ
「正々堂々と戦うこともせず、万事長き物に巻かれ、人目ばかりを気にし、陰でのみ嫉み、あざける。(この国は)つまらぬ国になるであろう。やさしくて卑怯な、か弱き者の国に」。これは大河ドラマ「どうする家康」で、大阪夏の陣に破れて滅亡する豊臣の最後に遭遇した茶々のセリフだそうだ。私はこのドラマを見ていないので単なる想像だが、おそらく権謀術数を駆使して天下を取った家康と、その家康に寝返った豊臣家の家臣達を見た茶々の、呪いを込めた述懐であろう。このセリフがまさに日本の現状を言い当てているとネットで話題になったのだそうだ。私がこのセリフを知ったのも、それを報じるネットニュースを読んだからである。
かつて私は大河ドラマは単なる電気紙芝居だと軽蔑してきた。そこには歴史の大河のうねりもなければ人間ドラマもなく、単に豪華な俳優を揃えてきれいな絵柄を作るだけ、主人公を正当化するだけの絵物語でしかないと感じていたからだ。ところが、「晴天を衝け」や「鎌倉殿の13人」、そして今回の「どうする家康」などでは少し変わってきたような気がする。私はどれも年に数回しか見ていないので偉そうなことは言えないが、多少は人間ドラマも描かれるようになったように思う。
でも、歴史を描くという点ではどうだろう。今回の茶々のセリフにしても、本当に彼女がそう感じたという根拠はあるのか、シナリオ作家の古沢良太さんが日本の現状に対する認識を過去に投影しただけではないかという気がする。ドラマはドラマであって歴史ではない。でも、歴史的な素材を扱う以上、歴史に迫る努力はして欲しい。大河ドラマが単なるゲームのように「取った」「取られた」だけの世界では意味がないと思うのだ。
あげる・してあげる オランダの冬 ほうれい線 ムクドリの警戒心
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