2023/05/31

                                        5月の記事


核の傘から出よう   …  核の傘に入っていると核攻撃を受ける危険がある

井戸謙一さん(1)  …  10人の真犯人を逃しても1人の無辜を罰してはならない

井戸謙一さん(2)  …  井戸謙一さんが自分の信念を貫けた理由

夏近し        …  夏近し 朝日に透けて 鷺が行く

核を無力化しよう   …  核廃絶は無理だ。それなら核を無力化するしかない。

個性的ということ   …  大勢に従わない人を「個性的」と攻撃する社会

好みの問題      …  私はミニバンが嫌いだ。セダンの方がきれいだと思う

水撒けば       …  水撒けば トカゲとびだす 蝶が舞う

絶妙な数字      …  私は「5年生存率87パーセント」と教えられた

大河ドラマ      …  最近、大河ドラマが変わってきたように感じる

大萩の集団移転    …  大萩は全員一致での決めて、村の全戸が集団移転した

俳句の解釈      …  麦秋や明日はきちんと愛告げる この句の麦秋風景とは?

命名権・ナンダソレ? …  彦根の陸上競技場が平和堂HATOスタジアムと名付けられた  

カタツムリの家    …  私の家の生け垣にたくさんのカタツムリがいる

どうでもよい話    …  「へっぴり腰」ということばの意味が分かった

なるほど、納得    …  どうやら私は鶴瓶と間違われたらしい

フェイクニュース   …  テレビニュースが全く事実無根だったら……

感動の航海者     …  200億キロ離れたボイジャーから情報が届く

今関信子さん     …  今関さんの作家活動は小さい頃からの経験に基づく

今年の夏野菜     …  ナスやトマトなどの夏野菜は連作を嫌うものが多い

私のおもちゃ箱    …  私はビー玉やボールなどたくさんのおもちゃを持っている

私の自慢話(1)   …  私は原発の電源喪失事故の危険を予測していた

数百万年後の地球   …  数百万年後、地球の人類は絶滅しているだろう

戦うということ    …  人生で最も大事なことは戦うこと、勝つことだ

台湾の独立こそ    …  台湾は独立すべきだ、日本はその立場に立つべし

辻正人さん      …  リトルリーグで「楽しい野球」を目指す辻さんのチーム

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         命名権・ナンダソレ


 最近、「平和堂HATOスタジアム」がオープンしたという新聞記事を見たのだが、最初は何のことかピンとこなかった。しかし、記事を読むうちに、それは再来年滋賀県で開催される国民スポーツ大会・障害者スポーツ大会のメイン会場にするために彦根市に建設されていた陸上競技場のことだと分かった。正式名称は「彦根総合スポーツ公園陸上競技場」と言うらしいが、滋賀県を本拠地とするスーパーの平和堂が年間1000万円で命名権を獲得してこのような名前を付けたものらしい。

 普通、運動施設にはその施設の種別や、所在地、所有者が分かるような名前を付けるものだが、「平和堂HATOスタジアム」では、どこにあるどんな施設か分からない。それに、今回の命名の期限は2028年までだということだから、その後は別の名称になるかもしれない。実にややこしい話だ。

 では、何のためにこんなややこしいことをするのか。たぶん自治体が命名料を得るのが目的だろう。陸上競技場の建設には90億円かかったそうで、その建設費や運営費の一部を補填しようということだろう。でも、たかが1000万円のために、住民や利用者の利便性を無視してこのようなことをしてよいのか。滋賀県では他に「びわ湖ホール」の命名権も売り出しているそうだが、そんなことをするくらいならその分は県や市の予算(税金)で賄えばよい。全国には同じように命名権を売った施設がたくさんあるようだが、私は断固反対だ。

 念のために書いておくが、私は平和堂が嫌いなわけではない。私はよく平和堂で買い物をするし、彦根が平和堂の発祥の地であることに誇りを持っている。でも平和堂には命名権を買って欲しくなかったと思っている。

核の傘から出よう        井戸謙一さん(1)   井戸謙一さん(2)       夏近し        

核を無力化しよう          個性的ということ        好みの問題         水撒けば       

絶妙な数字        大河ドラマ       大萩の集団移転       俳句の解釈      

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台湾の独立こそ     辻正人さん      

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              俳句の解釈(2)


 麦秋や 明日はきちんと 愛告げる

 この句は伊藤園の「おーいお茶」のラベルに、「新俳句大賞」の一つとして掲載されていたものである。新俳句大賞に選ばれている句は、俳句と呼ぶに値しない幼稚なものや、現代俳句風の難解な句が多くて、私はあまり評価できないことが多いが、この句は秀逸だと思う。「愛告げる」、これは今風に言えば「告白する」ということだが、こういう軽いことばを使わず「愛告げる」と言ったところや、慣習的な文語調のことばを使わず、「きちんと」という日常語を使ったところに、作者の強い思いが感じられる。季節は麦が稔る梅雨の頃だ。

 稲が実る時は田んぼ全体が明るい黄金色になり、とても華やかな雰囲気になる。ところが、麦の穂は黄色を基調としながらも焦げ茶色の色彩も混じっているので麦秋の麦畑はそれほど華やかではない。特に雨が降っている時などは暗く沈んだ色調にすら見える。私はこの句を読んだ直後にそんな麦畑の間を走っていて、落ち着いた色調の麦畑を見ながら、この句を詠んだ女性の「明日はきちんと愛告げる」という凛とした決意に感動したのだった。そしてその後、私はこの句を思い出すたびに雨に濡れてやや暗い麦畑を連想していた。

 ところが、2,3年後、よく晴れた日に麦畑の中を走っていた時、不意にこの句を思い出した。このとき、太陽の光を浴びた麦畑は黄色く輝き、空は明るい青色をしていた。それを見ながら麦秋というのはこういう明るい活力にあふれた時期でもあるのだと感じ、あの句はこういう風景を見ながら自分のあふれるような思いを詠んだ句かもしれないとも思った。実際、どちらかは分からない。でも、どちらにもとれる、それが俳句なのだ。

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              大萩の集団移転


 今から50年ほど前、鈴鹿山脈の中にあった戸数60軒ほどの大萩という村が山の麓へ集団移転した。台風による豪雨で村の裏山が崩れ、その土地が危険だということで、村で相談した結果、集団移転が決まったのである。そこは古くからの歴史がある村で、祖先の墓も村の中にあり、その土地に対する村人たちの愛着もひときわ強かったのではないかと思われる。ところが、最終的には村人全員一致で移転が決まったのだ。

 移転先には必要数分の住宅が村人総出の作業で建築された。自治体からの経済的な支援もあったが、それ以外に必要な資金は村人連名の借用書を作って金融機関から借りたのだという。そして、同じ広さ、同じ間取り、同じ外観の家が必要数だけ建てられ、誰がどの家に入るかは入居直前に抽選で決めたのだそうだ。もとの村では豪邸に住んでいた人もあれば、狭い家に住んでいた人もいる。しかし、そういうこととは一切関係なく、全員平等に家を割り当てられたのだという。

 大萩では昔から村に関わることは村の寄り合いで決めることになっていたのだそうだ。それも全員一致が原則で、全員一致になるまでは何度でも何度でも寄り合いを繰り返し、ほぼ大勢が決まった後も、反対する者に対しては村の役員がねばり強く説得するのだそうだ。集団移転することも、移転先に同じ規格の家を建てることも、このようにして決められた。おそらく、日本の古い村ではごく一般的なしきたりだったのだろう。

 だが、それを個人の自由を尊重する仕組みと考えるか、多数の圧力で少数者を従わせる仕組みと考えるかは、人それぞれだろう。私は大萩の集団移転の経過に感動するが、私自身はそういう村では生きてゆけそうにない。

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              大河ドラマ


 今年の大河ドラマ「どうする家康」は、あまり評判が良くないらしい。でもそれはいいことではないかと、私は思っている。それは、大河ドラマがかつての「電気紙芝居」から、ようやくドラマになりつつある証拠だと思うからだ。とはいえ、私はこれまで断片的にしか大河ドラマを見ていないので、私の独断と偏見もあるかもしれないが、どうかお許し頂きたい。

 私が大河ドラマを電気紙芝居と感じたのはもう50年以上も前のことだ。豪華なセットの前に人気のある俳優を並べてきれいな画像を撮り、それをつなげていくという手法である。そこにはストーリーはあってもドラマは感じられなかった。さらに、そのストーリーも主人公を英雄視し、その行動を正当化するもので、そのイメージにそぐわない史実は軽視されてきたように思う。主人公自身が自分を正当化しようとするのはふしぎではないが、ドラマには客観的な視点も必要だ。

 でも、一番の問題は「大河」が描かれているかどうかだろう。「大河」というのは「歴史の大河」のことで、人間は誰でも歴史の大河に束縛され、翻弄され、時にはその流れを大きく変えたりもする。その相互作用が描かれていなければ大河ドラマと呼ぶに値しない。戦国武将がどんな作戦を立てたか、幕末、勤王の志士と新撰組がどう戦ったかということ自体は「大河」と余り関係がない。問題は彼らの生きざまの背景にあった当時の社会であり、彼らを突き動かしていたものだ。

 かつて私はアメリカの南北戦争を扱った「風と共に去りぬ」や、ロシア革命期の知識人の運命を描いた「ドクトルジバゴ」などを見て感動した。今でもあのような作品が本当の大河ドラマだと思っている。

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核を無力化しよう          個性的ということ        好みの問題         水撒けば       

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命名権・ナンダソレ?    カタツムリの家    どうでもよい話      なるほど、納得    

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              絶妙な数字


 私は4年前に悪性リンパ腫にかかって入院し、抗ガン剤の治療を受けた。ステージⅢということで、入院した当初は不安だったが、さいわい治療は順調に進み、20日ほどで寛解という診断を受けた。ガンの場合、治癒とか完治とかの診断はなく、寛解というのだそうだ。退院した後は定期的に腫瘍マーカーと簡単な診察を受けているが、現在のところ再発の兆候はない。

 ところで、退院する時、私は主治医の先生から「あなたのような場合の5年生存率は87パーセントです」と言われた。この数字はガンの種類や患者の年令、治療経過などから割り出された客観的な根拠のある数字なのだろうが、この数字を聞いた時、私は絶妙な数字だと感心したものだ。まず第1に、87パーセントなら、「まず大丈夫だろう」という安心感を患者に持たせることができる。これはすごく大事なことなのだと思う。しかし、逆に言えば死亡するケースも13パーセントあるということだから、安心しきってしまわないで、これからも定期的に検査を受けなさいよというメッセージも込められているのだろう。絶妙というのは、そういう意味だ。

 主治医の先生がわざわざこういう数字を私に教えてくれたのは、そのような配慮があってのことだろう。これがもし10パーセントや20パーセントなら、絶対その数字を口にしなかったに違いない。そういう判断ができる人が名医なのだ。もしかしたら私がこのように考えて、その先生への信頼感を増すことさえも、計算に入っていたのかもしれない。

 あと8ヵ月で私は寛解から5年になる。今、私は自分も87パーセントの方に入ることができるだろうと期待している。でも、その先は分からない。

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              水撒けば


 水撒けば トカゲとびだす 蝶が舞う

 私の家はシラカシの生け垣に囲まれていて、庭にはトネリコなど何本かの樹が植えてあるので、夏の朝はこれらの樹に水をやることにしている。木の根本あたりは手入れが行き届いていないので、たくさんの雑草が生えていて、そこにホースで水を撒くと、何匹ものトカゲが驚いたように飛び出し、草の葉にとまって羽根を休めていたらしい蝶が舞い上がる。トカゲは素速い動きでどこかへ逃げていくが、蝶は水撒きが終わったらまた元の草に戻ろうとしているのか、しばらくは周囲を飛び回っている。そんな情景を詠んだのが冒頭の句である。

 それは私にとって楽しい時間である。毎日のことなので、トカゲがとびだすのも蝶が舞い上がるのも分かった上で、わざと勢いよく水をかけるのだ。しかし、もちろんトカゲにも蝶にも危害を加えるつもりはないし、追い払うつもりもない。それは私と動物たちとのゲームのようなものなのだ。このときだけは私とゲームを楽しもう、でもゲームが終わったら、また戻ってきてゆっくりとここで過ごしてくれたらいいと思っている。

 トカゲや蝶だけではない。真夏になるとトネリコの幹にびっしりとセミがとまる。幹に5センチ間隔くらいでセミがとまって羽根を振るわせて耳を聾するような声で鳴く。あまりにも多いので、一体何匹いるのだろうと思って、去年、トネリコの樹に水をかけて飛び立つセミの数を数えたら50匹以上いた。これだけのセミが一斉に鳴くとさすがに迷惑だが、それでも我慢するしかないと思っている。このセミたちは長い間土の中で暮らしてようやく地上に出てきたのだから。それに、朝、脱皮する時には美しい緑色の姿を見せてくれるのだから。

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              好みの問題


 私も古い人間だということだろうか、車で走っていて、たまに車高の低いセダンタイプの車を見かけると、きれいだなと見ほれることがある。低い車高では乗っていても窮屈だろうし、幅の広い車体では最少回転半径が大きく取り回しにも不便だろうから私自身が乗りたいとは思わなけれど、見た目にはきれいなのだ。

 時代とともに、車のデザインも大きく変わった。おおむね車高が高くなり、あまりカッコイイとは言えない車が多くなっている。そんな中で、私が特に嫌いなのはミニバンタイプの車でフロントグリルの部分がクロームメッキした金属棒を縦横に組み合わせたようなデザインの車だ。ミニバンタイプの車は値段が高く、この種の車は所有者のステータスシンボルにもなっているようだが、クロームメッキされた金属棒はせり出した肋骨のように見えることもあるし、フロントグリルが前に突き出している様は、お腹の出た不格好な中年男を連想させる。私自身は、どんなに安くても、たとえお金を積まれてもこんな車には乗りたくない。

 とはいえ、どんな車に乗るかは個人の好みの問題だ。私は今は軽自動車に乗っているが、昔は4ナンバーのバンだった。その方が荷物が積めて便利だし、自動車税も安かったからだ。車だけではない。たとえば、腕時計でもそうだ。何百万円もするブランドものの腕時計がある一方、百円ショップには百円の腕時計がある。私自身はホームセンターで買った1480円の腕時計をしている。その腕時計も最近は表面のメッキがはがれて金属の地肌が現れてきた。人によっては、みすぼらしいと思うのだろうが、機能本位で見かけは気にしないというのが私のプライドなのである。

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              個性的ということ


 今日の新聞に、最近の若者の間では「個性的」ということばがマイナスイメージのことばとして使われているという記事があった。「あの人は個性的だ」と言えば、その人は集団の大勢に従わない自分勝手な人だという意味になるのだそうだ。私は教育現場を離れてもう十年以上になり、日常生活の中で若い人と接する機会も皆無なので記事の信憑性は確認できないが、確かにそうなっていてもふしぎではないと思う。

 もちろん昔も自分勝手な人を「個性的」などと言って非難することはあった。しかしそれはあくまでも皮肉としてである。個性的という言い方が皮肉として成り立つのは、本来、個性的ということをプラス価値のことばとしてとらえるという共通認識があればこそだ。もちろん、昔も集団の秩序に従うことは求められたが、それと個性的であることは矛盾するものではないというのが一般的な認識だったのではないかと思う。

 私は以前「世界に一つだけの花」という文章を書いた。「世界に一つだけの花」という曲が好きでよくハミングしていた女性が、世の中にはこの曲を嫌いな人もいるとを知って、自分は嫌われているのではないかと、人に会うのが怖くなったという話だ。いくら何でもこれは極端だと思うが、誰かが「マスクを外すべきではない」と言えば自分もマスクをし、「あの店のスイーツはおいしい」と言えば自分も同調するという人はいくらでもいる。

 日本社会は同調圧力が強いとよく言われるが、これはそれ以前の問題だ。こんな状態が続けば日本の将来が心配になる。もっとみんなが自己主張できるような、仮にそこまではいかなくても、個性的であることがプラスに評価されるような社会を作れないものだろうか。

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              核を無力化しよう


 日本は世界で唯一の核被爆国である。だから、日本人は世界で最も核の恐ろしさを知っている国民であり、核の脅威をなくす、あるいは軽減するために世界の先頭に立つべきであると私も考えている。その究極の理想が核の廃絶であることに私も異存はないが、現在の状況の下ではそれは単なる理想論に過ぎず、それにこだわっていては具体的な進展が望めない。そこで、もう少し現実的なアプローチとして、核の存在を認めた上で、それを無力化することを考えるべきではないかと思う。

 無力化するというのは核兵器が使えないような状況を作り出すということである。核兵器を持たず核の傘にも入っていないような国を核攻撃すれば世界から非難を浴びるから、その国を核攻撃できなくなる。そこで、世界の各国に核を持たず、核の傘にも入らないように「非核宣言」をさせるのである。もちろん最終的には政府の決定が必要だが、まず私たちが民間レベルで各国の世論に働きかけることを考えるべきだろう。

 これは、非現実的だろうか。いや、すでに東南アジアや、ラテンアメリカなどには「非核兵器条約」を結んでいる国がたくさんある。それをまず非核保有国全体に広げるのだ。そして、次にはイギリスやフランスを説得して核兵器を廃棄させ、「非核宣言」させるのである。それでもアメリカや中国、ロシアなどは核を放棄しないだろうが、それはそれでよい。実際上は核が使えないものとなって、無力化されるからである。

 しかし日本がアメリカの核の傘に入っていては、そんな主張には何の説得力も生まれない。だから、私たちがまずすべきことは、アメリカの核の傘から出ることだ。アメリカもそれを止めることはできないはずである。

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夏近し


 夏近し 朝日に透けて 鷺が行く

 最近、好天が続いており、日本の各地で夏日(気温25度以上)や真夏日(30度以上)を記録している。私の住んでいる彦根でも、ここ数日は夏日が続いていて、いつ真夏日になってもふしぎではない感じだ。でも、朝の空気はさわやかで、気持ちがいい。

 冒頭の句は、数年前の今頃、私が詠んだ句である。朝、もう太陽はかなり高く昇っている時でも、我が家の前の路地はまだ隣家の日陰になっていて、太陽は見えない。しかし、見上げる空は明るい夏の青空で、朝日を浴びながらその空を2羽3羽、5羽6羽と群れをなして白鷺が飛んで行くのである。彦根城の森で一夜を過ごした鷺たちが、彦根城から1キロほど離れたところを流れる芹川へ飛んで行くのだ。我が家はちょうどその経路の下にあって、10メートルほどの高さをのところを次から次へと飛んで行く鷺を見ることができる。

                                          白鷺(インターネットより)

羽根を広げた鷺の姿は優美で、それを下から見上げると白い羽根が朝日に透けて実に美しい。川辺に降りた鷺は首を曲げていることが多くて、私はそんな鷺の姿は余り好きではないが、飛んでいる時はほとんど気にならない。はくちょう座の星を描いた星図に首を伸ばして飛ぶ白鳥の姿が描かれているが、そんな姿に見える。白鳥の場合は羽根が分厚すぎて太陽光に透けるということはないだろうが、鷺の場合は絶妙の厚さで、太陽光に透けた白い羽根が実にきれいなのだ。

 この時期、鷺が芹川に向かって飛ぶのは、小鮎が川を遡る季節だからである。その鮎を狙ってたくさんの鷺たちが芹川に集まるのだ。そういう意味でも、鷺が飛んでいくのを見ると夏の近いことを感じるのである。

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                                       井戸謙一さん(2)


 井戸さんは1954年の生まれで私より年下だが、世代としてはほぼ同じである。その井戸さんの高校時代の憧れはジャーナリストだったという。実は私もジャーナリストに憧れていて、私の憧れの対象は毎日新聞の大森実記者だったが、井戸さんは朝日新聞の本多勝一記者だったそうだ。その結果、私は毎日新聞を受けて一次試験で落ちたが、井戸さんはより直接的に社会正義を実現する道を選んで、司法の世界に入っていった。

 当時は学園闘争の時代で、私はそのど真ん中、井戸さんはその退潮期に学生生活を送っている。井戸さんは高校時代に初めてデモに参加し、大学時代は貧困地域に入って住民の生活を支援するセツルメントというサークル活動に参加していたという。そういうことは当時の学生にとっては別に珍しいことではなかったが、そういう学生も大部分は社会に出ると、学生時代の理想や信念を忘れて社会に同化していった。吉田拓郎は「祭りのあと」という歌の中で「もう眠ろう。もう眠ってしまおう。昨日の夢は冗談だったんだと…」と歌っているが、当時はそれが普通だったのだ。

 私が井戸さんを評価するのは、そんな風潮の中でも自分の理想や信念を一生持ち続けたという点である。では、なぜそんなことが可能だったのだろうか。上司や組織の指示を絶対とする企業社会ではなく、個人の独立をタテマエとする裁判官の世界にいたことも幸いしたのだろうが、そういう世界にいれば逆に孤立への不安もつのるだろうし、出世を考えれば大勢に順応しようという誘惑も生じるだろう。そういう中でも動じずに初心を貫けたのは、彼の信念は彼自身が実社会に触れつつ自分で作り上げたものだったからだろうと思っている。

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私のおもちゃ箱      私の自慢話(1)      数百万年後の地球      戦うということ    

台湾の独立こそ     辻正人さん      

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                                       井戸謙一さん(1)


 彦根市内で弁護士事務所を開いている井戸謙一さんはもと裁判官で、2011年に退官して弁護士になったという。裁判官時代には金沢地方裁判所の判事として志賀原子力発電所2号炉の運転差し止め判決を出して全国的に注目された。そして、弁護士になってからは湖東記念病院の人工呼吸器事件で有罪判決を受けて懲役刑に服し、刑期を終えていた西山さんの再審請求裁判の弁護団長を務めて、2017年に大阪高裁で、その後は最高裁で再審開始決定を勝ち取った有名な弁護士である。

 2015年、袴田事件の再審問題がマスコミをにぎわせていた頃、私は「この人に会いたい」というラジオ番組で刑事事件の裁判や冤罪事件について話して欲しいと、井戸さんにインタビューの申し入れをした。そのとき私は、もと裁判官という立場上、井戸さんには話しにくいテーマだろうから断られるかもしれないと、「ダメもと」のつもりで申し入れをしたのだったが、井戸さんは気軽にインタビューに応じてくれたのだった。

 そのインタビューの中で、私は「裁判官として最も大切なことは何ですか」と聞いた。すると井戸さんは躊躇なく、「たとえ10人の真犯人を取り逃がすことになったとしても、1人の無辜(罪のない人)を罰してはいけない」ということだと答えてくれた。これは、被告人に対して生殺与奪の権を持つ裁判官はそれだけ慎重でなければいけないという格言で、裁判の大原則なのだろうけれど、長年、司法といういわば官僚世界の中にいた人から、このような「青臭い」言葉が聞けたことに私は感動した。ある雑誌に「自分が正しいと信じることをそのままに」というのが井戸さんのポリシーだと書いてあったのが、なるほどと納得できた次第である。

核の傘から出よう        井戸謙一さん(1)   井戸謙一さん(2)       夏近し        

核を無力化しよう          個性的ということ        好みの問題         水撒けば       

絶妙な数字        大河ドラマ       大萩の集団移転       俳句の解釈      

命名権・ナンダソレ?    カタツムリの家    どうでもよい話      なるほど、納得    

フェイクニュース         感動の航海者      今関信子さん         今年の夏野菜     

私のおもちゃ箱      私の自慢話(1)      数百万年後の地球      戦うということ    

台湾の独立こそ     辻正人さん      

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                                 核の傘から出よう


 ヒロシマで開かれたG7の会合に参加した首脳たちは原爆資料館を見学した。それはいいことだ。しかし、それに過大な期待をしてはいけない。資料館の展示を見た首脳たちは核の悲惨さを再認識しただろうし、それが個人レベルでは何らかの変化をもたらすと期待したいが、それが国家レベルの政策変更につながる保証はない。

 私たちが核の脅威から逃れようとするなら、単なる願望で「核兵器廃絶」などと言うのではなく、核がどんな状況でどのように使われる可能性があるのか、その脅威の中身をリアルに見ることだ。そして、それをすれば、私たちがまず取るべき行動はアメリカの核の傘から出るという選択だということが分かるはずだ。 

 日本が核の傘に入っているというのは、傘をさして降ってくる放射能から守ってもらおうということではない。日本を核攻撃すれば核で反撃されるから、核攻撃されないだろうという核抑止の考え方からである。

 でも本当にそうだろうか。そういうことが言えるのは、相手が合理的に判断できる場合だけである。たとえば、どこかの国が存亡の危機に立って、その指導者に合理的な判断ができなくなればその限りではない。核の傘など、全く無意味になるのだ。

 では相手に合理的な判断ができる場合はどうか。日本は国土が狭いし軍事基地と住民の居住地が隣接している。そんなところを核攻撃すれば民間人に大きな犠牲が出て世界中から非難を浴びるだろう。しかも、国土が核で汚染されてしまえば、占領することもできない。だから日本を核攻撃しても何のメリットもないのだ。同様のことは、世界の多くの国にも言えるはずだ。そんな国の先頭に立って日本は核の傘から出るべきだと思う。

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2023/05/15

                                       5月の記事


カタツムリの家    …   私の家の生け垣にたくさんのカタツムリがいる

どうでもよい話    …   「へっぴり腰」ということばの意味が分かった

なるほど、納得    …   どうやら私は鶴瓶と間違われたらしい

フェイクニュース   …   テレビニュースが全く事実無根だったら……

感動の航海者     …   200億キロ離れたボイジャーから情報が届く

今関信子さん     …   今関さんの作家活動は小さい頃からの経験に基づく

今年の夏野菜     …   ナスやトマトなどの夏野菜は連作を嫌うものが多い

私のおもちゃ箱    …   私はビー玉やボールなどたくさんのおもちゃを持っている

私の自慢話(1)   …   私は原発の電源喪失事故の危険を予測していた

数百万年後の地球   …   数百万年後、地球の人類は絶滅しているだろう

戦うということ    …   人生で最も大事なことは戦うこと、勝つことだ

台湾の独立こそ    …   台湾は独立すべきだ、日本はその立場に立つべし

辻正人さん      …   リトルリーグで「楽しい野球」を目指す辻さんのチーム

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                                       辻正人さん


 今日、夕方前、たまたま車で見たテレビ番組で、多賀少年野球クラブが特集されているのを見てうれしくなった。このチームを率いているのは辻正人さんという人で、5年前、多賀少年野球クラブが全国少年野球大会で優勝をした直後、私は辻正人さんにインタビューし、「この人に会いたい」という私のラジオ番組で放送したことがあるのだ。辻さんはもう30年間も少年野球の指導をしてその間に3回の全国優勝を達成し、楽天イーグルスの則本投手などの有名選手も排出している。

 彼は公務員として勤務するかたわら、「世界一楽しく、世界一強い野球」をモットーにこどもたちの指導をしている。こどもたちが「楽しい」と感じるのは、自分達で考え、こどもたちどうしが連係してプレーする時だという信念から、試合中も監督から指示を出すことはほとんどない。たとえば、バントで走者を進塁させるか、強攻策でヒットを狙うかという判断もこどもたちがする。チームの誰かがその判断をし、こどもたちどうしのサイン交換でその方針を徹底するのだ。また、根性論などは表に出さず、無意味な長時間練習もしない。こどもたちが「もの足りない」と感じるくらいで練習を切り上げる方が、次の練習が楽しみになるからだそうだ。

 私は野球自体は好きだが、高校野球はあまり好きではない。選手がまるで監督の操り人形のようだからだ。それを良しとする人も多いが、私は嫌いだ。辻さんも高校時代に野球部に所属し、そのような指導を受けたという。その反省から20才過ぎに少年野球チームを結成し、新しい指導法を模索してきたのだそうだ。最初のうちは高校野球の指導法から抜けきれなかったそうだが、ついに新しい指導法を確立したのである。

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                                       台湾の独立こそ


 最近、台湾有事ということが盛んに言われている。中国が台湾を武力統一するのではないかということだ。そういう事態にならないことを願うし、そんなことにならないように日本は中国に働きかけるべきだと思うが、実際にどうなるかは分からない。

 こんなことになっているのは、日本やアメリカにも責任があると思う。1970年、日中、米中の国交回復にあたって、中国側「一つの中国」という原則を受け入れることを要求し、日本もアメリカもそれを認めた。

 中国は一つの国で大陸中国が正統な政府であると認めて国交を樹立した以上、中国が台湾をどのように扱おうとそれは国内問題だということになる。もしあのとき、台湾を独立させるか、少なくとも連邦制にしておけば、今日の事態は変わっていただろう。それが簡単なことでなかったのは分かるが、10年かけても20年かけても追求すべき方向だったと思う。 

 ただ、当時、台湾でも独立の声は弱かった。たぶん、国共内戦後も台湾政府が「一つの中国」を掲げて大陸反攻を狙っていたという経緯があったからだろう。この事実は、過去の行きがかり上、当事者には解決できないこともあるということを意味する。

 したがって、私たちは第3者として台湾独立を仲介するという方向性を考えてもよいと思う。先にも書いたようにそれは国際法的には内政干渉だし、中国が猛反発するのは必至だ。日本への経済的な打撃も大きいだろう。しかし、そういうことを覚悟してでも、世界の理想像を掲げて国際世論を形成し、大国にもの申す、そういう外交があってもよいと思う。第3者的に見れば台湾の独立こそがベストな選択だろうと思うから。

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                                      戦うということ


 現役の教師だった頃、私は何度か生徒たちに「生きていく上で大切なのは、戦うということだ。そして、戦う以上、勝たなければならない。」と言った。個人的に話している時にもそう言ったし、教室でたくさんの生徒を前にしてそう言ったこともある。

 そんな時、生徒は怪訝な顔をすることが多かった。「学校の先生がそんなことを言ってもいいんですか。」というのだ。そんな場合、私は「戦うと言っても、その目的は相手を傷つけたり倒したりすることではなく、自分の思いを実現させることだ。」と答えるのが常だった。そして「先生だからこそそう言うのだ」と付け加えた。

 私自身、教師として仕事をする上でヤクザにクレームをつけに行ったり、校長や県教育委員に論争を挑んだりしたこともあった。また、自分の子どものことで私に謝罪を要求してきた父親が、「自分は県会議員や教育委員と親しい。新聞記者や弁護士も知っている。お前をクビにしてやる。」と捨てぜりふを吐いたこともあったが、私は妥協しなかった。仕事の性格上、そういうできごとを他人に話したことはないが、事情を知っている誰かから漏れたのだろうか、私は生徒たちから「武勇伝」というニックネームを貰っていたこともある。

 最近、学校では周りと面倒を起こさないようにしようとする風潮があるが、私は反対だ。生徒の保護者はさまざまな要求を学校に突きつけてくる。そのこと自体は正当なことだが、もしその要求が不当なら、教師や学校は断固戦わなければならない。その場合、最も大事なことは、どうでもよいと妥協しようとする自分、怖がって逃げようとする自分との戦いである。「最大の敵は自分自身だ」というのも、生徒に対する私の口癖だった。

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                                       数百万年後の地球


 地球から200億キロの彼方を航海するでボイジャーにはゴールデンレコードというものが積み込まれている。これは人類に関するに関する情報を文字や音声や写真などで記録したもので、将来これが宇宙人によって回収された時に、ボイジャーを作った人類のことを宇宙人に知らせようという趣旨で搭載されたものだ。これについて、ある科学者は「これが宇宙人によって回収されるとしても、それは数百万年後のことで、人類はもう滅亡しているだろう。だから、これは地球に人類がいたという宇宙の歴史の一コマを記録したものとなるだろう」と言っているという。

 私は以前「永遠の生命」という文章で、私個人は死んでも、人類が生き残っていればそれでよい、という意味のことを書いた。強がりとも受け取られかねない言い方だが、そう考えることで私自身が心の平安を得ていたのは事実だ。ところが、その人類もいずれ滅亡するのだと書かれると、心は穏やかではいられない。

 しかし、数百万年後に人類が絶滅していることはほぼ確かだろう。地球温暖化や核兵器、AIの進化などを考えると、滅亡の時期はもっともっと早いかもしれない。地球上に生命が誕生して約40億年、カンブリア爆発という生命の大進化が始まって6億年、恐竜が絶滅して現在の地球になって約6千五百万年。その歴史に比べれば、数百万年というのはごく短い時間だ。太陽の寿命はまだ50億年くらいはあるから、その間は地球もおそらく存在し続けるだろう。人類のいない、もしかしたらどんな生物もいない地球が、だ。

 将来、ゴールデンレコードを手にした宇宙人は、人類のいない地球を見てどんなことを感じるのだろう。

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                                       私の自慢話(1)


 今から20年余り前、膳所高校に勤務していた頃、私は「科学概論」という自主講座を開いていた。これは、日常生活の身の回りの現象を科学的に見ることから始まって、現代の科学技術の最先端までを扱う「科学入門」のような内容の講座である。その中で原子力発電の問題点や危険性も扱った。そのとき、私はスリーマイル島やチェルノブイリの事故を例にさまざまな危険について話し、特に危険な事態は、電源喪失事故とテロリストや敵国による発電所攻撃だと話した。

 地震などで原子力発電が停止した場合でも核燃料は熱を出し続ける。だから冷却し続けなければならないが、その電力が得られなければ原子炉はメルトダウンし、燃料貯蔵プールは沸騰して、大量の放射性物質が環境中に放出される。これが電源喪失事故である。こういう事故の可能性を、私は空想で言ったのではない。実はフランスのラ・アーグ再処理工場で実際に起こったことがあるのだ。この事故の場合はさまざまな幸運が重なって、燃料溶解液が沸騰する寸前に電源を確保することができたのだが、もしそうでなければ、ヨーロッパ全土が放射能で汚染されただろうといわれている。

 このような危険を指摘した私に、大方の人は冷ややかだった。日本の原子炉はしっかり管理されているから安全だというのである。ところが、その10年後、不幸にも福島第1原発の事故が起こって私の懸念が的中した。「不幸にも」と私は書いたが、実はこのとき、私を批判していた人たちに対して「ざまあ見ろ」というような思いを持ったのも事実だ。何事につけても、自分でものを考えないで、権力者や権威に素直に従うという処世術で生きていたら、こういうことになるのである。

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                                       私のおもちゃ箱


 私は理科の教師をしていた関係で、大小のビー玉やボール、バネ、磁石、メジャー、温度計などのさまざまなガラクタを集めたおもちゃ箱を持っている。ほとんどは100円ショップで買った物だが、ビー玉などは眺めているだけできれいだし、ボールはポンポンと弾ませるだけで楽しい。そして他に、ラジコンの自動車、ファンを回転させて床の上を滑らかに滑るホバークラフト、ミニ四駆の速さを計るビースピというおもちゃなどなどもあるし、昔はやった地球ゴマなどもある。

 これらは授業にも役立ってくれた。たとえば、ピンポン玉とゴルフボールは直径がほとんど同じなのだが、重さはピンポン玉は2グラム、ゴルフボールは50グラムほどである。このふたつを教室に持って行って、「これらを同じ高さから落としたら、どちらが早く落ちるか?」と聞いてみると、ほとんどが「ゴルフボール」と答える。そこで実際にこれらを同時に落としてみると、どちらも同じように落ちるのだ。ガリレイのピサの斜塔実験の再現である。でも、ビー玉とほぼ同じ大きさの発泡スチロール玉では、ビー玉の方が速く落ちる。

 私自身も新たな発見をすることがあった。あるとき、十数個のビー玉を車のドアポケットに入れておいたのだが、たまたま赤いビー玉が一番上に乗っていた。その状態でエンジンをかけると、その1個だけがまるで生きているかのように、2~3秒の周期で回転し始めたのである。そこでエンジンを止めてみると、回転も止まり、再びエンジンをかけると、また回転し始めた。

 他のビー玉は上下とも他のビー玉と接触しているが、赤いビー玉は下側だけが接触している。その結果、車の振動一方向の摩擦力として伝わったのだろう。


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                                         今年の夏野菜は…


 夏野菜 育て大空 ジェット行く

 これは5年前、荒れ放題になっていた我が家の庭を耕して夏野菜を植えた年に詠んだ句である。キュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、ピーマンなどの苗をそれぞれ二株ずつ買ってきて植えたのだが、どれも順調に育って食べきれない程の夏野菜が採れた。

 ぐんぐん育っていくその様子は見た目にも力強く、そんな時ふと空を見上げるとジェット機が明るい夏空に短い尾を引いて飛んでいった。どちらも旺盛な生命力のようなものを感じさせたので、それを詠んだ句だ。

 その成功に味を占めて次の年も夏野菜を作ったのだが、今度は惨めな失敗だった。収穫量は前年の半分にも満たず、できたキュウリもナスも貧弱だった。おそらく連作の影響だろうということで、その次の年は「連作可」と表示された値段の高い接ぎ木苗を植えたが、それでも収量は前年よりさらに落ちた。そして昨年、今度は植える場所を工夫するなどして接ぎ木苗を植えたのだが、やはり収穫は改善しなかった。

 そこで何とかしなければと、今年は畑にスコップで穴を掘って、そこに買ってきた野菜用の土を入れて苗を植え付けた。十数本の苗に120リットルほどの土だから根が伸びたら古い土にまで達するだろうが、とりあえず苗のうちは大丈夫だろうと思ったのだ。ところが、今見ている限り、苗はほとんど成長していない。

 連作ができないのは人工的に改良した品種だからだろう。もし自然界の野生種でこんな現象があったら、その植物は絶滅してしまいかねない。だから品種改良は植物に対して罪なことなのかもしれないと思うが、さらに改良して連作できる品種を作り出せないかとも思う。

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                                      今関信子さん


 「この人に会いたい」というラジオ番組のインタビューで、今関信子さんという人に会った。読書感想文コンクールの課題図書にも選ばれた「子犬の裁判始めます」という子ども向けの小説や、カンボジアでボランティア活動をする栗本英世さんを取材して「地雷の村で寺子屋作り」というルポ書いた作家である。もう80才になるのだそうだが、とにかく元気な女性で、私より大きな声で話し、話の途中でハハハと朗らかに笑う。

 こういう雰囲気からもかなりヤンチャな人だろうと感じられるが、実際、小・中学校時代は周りのこどもたちのリーダー、いわば女性版のガキ大将だったそうだ。その当時、昭和20年代は、いわゆる戦後民主主義の時代で、自分の身の回りのことを文章に書くという生活綴り方運動が盛んだった。そんな中で彼女は文章を書くのが得意になり、コンテストでもよく入賞したという。

 そして、短大を出て幼稚園の先生になる。ここでもこども達を乗せるのが得意だった。朝一番に「先生が園に来る途中でカエルさんに出会ったの。そしたらカエルさんも園に行くといっていたからもう来ているかもしれないわよ」と言うと、こどもたちが一斉にカエルを探しに飛び出していく、そんな保育をしていたそうだ。こどもたちに虫を触らせて、保護者から抗議が来たこともあるという。とにかく元気で型破りの先生だった。

 私は教師をやめて10年、直近の教育現場のことは分からないが、最近のこどもたちにはこういう自主性や独創性がなくなっているように感じる。それは親自身がひたすら目立たないように、波風を立てないようにと生きている結果だろう。まず親がヤンチャになって、ヤンチャな子どもを育てて欲しいと思うのだが。

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                                      感動の航海者


 最近興味深い記事を読んだ。数年後に予定されていたボイジャー2号の観測機器のシャットダウンを何年か延期されるというのだ。私はそれに感動した。

 1977年、木星や土星、天王星、海王星などを観測することを目的として打ち上げられたボイジャー2号は、今、太陽系から200億キロも離れた宇宙空間を航海している。地球と太陽の距離1.5億キロの133倍だ。地球と太陽の距離を10cmとして図を描いた場合、ボイジャーは13m先に描くことになる。1秒間に地球を7回半も回る光や電波でも18時間半もかかるという距離である。ボイジャー1号もほぼ同じ距離だ。

 私が感動した第1の理由は、こんなに遠くに離れてなお通信が維持されているということだ。普通に電波を発信した場合、電波は距離の2乗に反比例して弱くなる。だからこの距離では、月と地球で交信する場合の100億分の1くらいになってしまう。そうならないようにするには特定の方向だけに電波を発信するアンテナを使わなければならないが、しかし、それは逆に言えば、それだけ精密にアンテナの方向を制御しなければならないということだ。もちろん、地球まで届くような電力で発信することや、地球から届いた微弱な電波を受信できるような受信機の感度も必要である。こういうことすべてを50年前の打ち上げ時に想定して設計しており、その設計通りに機能しているのは、すごいことだと思う。

 感動の第2の理由は、ボイジャーの航海する宇宙の温度は絶対零度に近く、さらに50年間、宇宙線にさらされ続けてきたはずなのに、このような環境のもとでも観測機器や通信機器が正常に動作していることである。NASAの科学者や技術者、つまりは人類に乾杯だ。

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                                       フェイクニュース           


 フェイクニュースということばは、最近ではごく普通に使われているが、比較的新しいことばだと思う。私が初めてこのことばを聞いたのは2016年のアメリカ大統領選挙前に、当時はまだ大統領候補だったトランプ氏がしきりにこのことばを使っていた時だった。そのとき、私はトランプ氏が自分に都合の悪いニュースはフェイク(ウソの)ニュースだとして言い逃れようとしているのだろうとは思ったが、彼がこのことばを多用する背景には彼自身が日常的にフェイクニュースをまき散らしていて、彼にとってはそれが身近なものだったからだというところまでは気づかなかった。

 それがはっきりしたのは、2020年の大統領選挙後だった。敗れたトランプ氏が、各地の開票所で大量の票が不正に盗まれたと主張し、FOXニュースがそれを事実として報道したのである。その中には票の自動集計機で不正が行われたという主張もあったので、集計機を納入したドミニオン社はそれは事実無根で、虚偽の報道によって名誉が毀損されたとして2000億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。それに対してFOX側は、裁判所が事実認定に入る前に、1000億円の和解金を払って和解した。事実認定が行われれば、報道のウソが客観的に確定されることを恐れたのであろう。

 信じがたいことだが、アメリカの大放送局が長期間に渡ってウソのニュースを流し続けたのだ。私たちはマスコミの公正さを疑うことはあっても、意図的にウソのニュースが流されるという事態は想定していないが、もはやそのような前提で無批判にニュースを受け入れることはできなくなった。だからといって私たちにできることも少ないが、注意だけは怠らないようにしたい。

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                          なるほど、納得


 私は以前、小学校の校舎内のこどもたちが窓辺に寄ってきて、校舎の外にいる私に手を振りあったという記事を書いた(「こどもたち」)。こうして手を振ってもらったことは、私にはうれしいことだったが、なぜあんなに親しげに手を振ってきたのかはずっと疑問だった。ところが、後でこの話を妻にしたら、妻は「鶴瓶と間違えたんじゃない?」と言った。

 鶴瓶というのは、NHKで「家族に乾杯」という番組でホストを務めている笑福亭鶴瓶という落語家である。この番組では、鶴瓶があちこちを歩いて土地の人に親しげに声をかけ、声をかけられた土地の人たちも親しく鶴瓶に対応する。私がその鶴瓶と年格好や体形、ラフな服装、そして頭の禿げ具合などがよく似ているので、小学校のこどもたちは鶴瓶が自分の学校に来たと勘違いしたのではないかというのだ。なるほど、そう言われたらそうかもしれないと、私は納得した。

 単に納得しただけではなく、うれしかった。私はたいていのお笑いタレントは好きになれないが、飄々としていて自分を飾ったり他人に迎合したりすることがなく、いつも笑顔を絶やさない鶴瓶が好きだ。妻もそうだという。その鶴瓶と間違われたのなら光栄なことだ。こういう感情は、誰でも持っているものだろう。

 あのとき、私は鶴瓶のようにこどもたちの中に入っていったわけではない。だから、もし仮にこどもたちの間に入ったとしても、鶴瓶のように親しくこどもたちと交われるかどうかは分からない。でも、今はそれができそうな気がするからふしぎだ。それでも、こどもたちは本物の鶴瓶でなくてがっかりするだろうが、それは別の問題だ。こどもたちよ、鶴瓶でなくてごめんね。

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                                     どうでもよい話


 私は、今日、家の周りの生け垣の葉刈りをしている時に、大発見をした。「へっぴりごし」ということばの意味を知ったのである。

 私の家の周りには、シラカシの生け垣があって、新芽が伸びてきたので剪定作業をした。樹の高さは2メートル余りあるので、脚立を立て、それに乗っての作業である。脚立に乗った私の胸くらいの高さで切りそろえるのだが、枝は前に後ろにと伸びているので、前の方の枝を切る時は身を乗り出さないと枝切りばさみが届かないし、体のそばの枝を切る時には体を反らせないといけない。しかも、脚立を建てている地面が不安定なのでうまく重心を移動させないと脚立が倒れてしまう。実際、私は5年前に脚立が倒れて地面に転落し、大腿骨を骨折して1ヵ月ほど入院したことがある。それが今もトラウマになっているのだ。そんなわけで、いろいろと不格好な姿勢を取りながら枝を切っていた時、その姿勢が「へっぴり腰だ」と気づいたのである。

 脚立の上で上半身を前に出す時は、バランスを取るためにお尻を突き出さねばならない。その姿勢が「へっぴり腰」なのだ。オナラをすることを「屁をひる」というが、屁をひる時は無意識にお尻を突き出すのだろう。そのときのような、見るからに臆病でおずおずとした姿勢が「へっぴり腰」だったのである。

 これは、私の新発見だった。この程度のことは、おそらく語源辞典か何かを見れば書いてあるのだろうが、私自身今まで「へっぴり腰とはどんな意味か」などと考えてみたこともなかった。私の解釈は正しいとは思うが、それが分かったからといってどうということはない。全くもって、どうでもよい話である。

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                                      カタツムリの家


 今日、家の周囲の生け垣の葉刈りをしていて、カタツムリを見かけた。毎年、今頃から晩秋になるまでここにたくさんのカタツムリを見かけるのだが、今年はたぶん、これが初めてだと思う。多い時には一目見ただけで10匹ほどのカタツムリを見つけることができるのだ。近くに乳児保育所があって、2、30人の園児が保母さんに引率され、誘導ロープにつかまって散歩に来た時など、私の家の前でカタツムリを見つけてキャーキャーはしゃいでいる声が家の中まで聞こえてくる。

 カタツムリは気持ちが悪いという人もいるし、薬剤で駆除すべきだという人もいるが、私は気持ち悪いとは思わないし、特別の害もないので、そのままにしている。ただ、雨の降った日など家の門から玄関までの石畳の上を這っているカタツムリを、ついうっかりと踏みつけてしまうことがある。そのときグシャと殻がつぶれる感触は何とも気持ちが悪い。時にはカタツムリが門の外のアスファルト道を這っていることもあるので、そんな時は安全なところへ移してやる。

 そのままではしっかりアスファルトにへばりついていて引きはがせないが、手の爪でコツコツと殻を弾くと身を縮めるので、その間に移動させるのだ。

 ある霧の深い朝、玄関の外の切石に座ってタバコを吸っていると、すぐ近くにカタツムリがいるのに気がついた。それ以外の動物の姿は何も見えない。そこで私は心の中でこう語りかけた。「このまま霧が晴れなくてボクとお前だけになったらどうしよう。世界でふたつだけの命だけれど、ボクは人間でお前はカタツムリだから、子供を作ることもできないんだね。だから、せめて死ぬまでは仲良くしようね。」と。

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