生殺与奪の権
ビッグモーターによる自動車保険の不正請求が問題になっている。客の車を意図的に傷つけて多額の保険金を請求していたというのだ。報道によれば保険会社との癒着もあったようだが、そんなふうに不正請求されれば損をするはずの保険会社がなぜそんな不正を見逃していたのか不思議な気がする。さらに最近では、ビッグモーターの社員が店舗の前に除草剤を撒いて、街路樹が枯れるという被害が出ていることが明らかになったという。
社員が除草剤を撒いたのは、ビッグモーター創業者の息子である副社長が「環境点検」と称して各店舗を廻り、そのときに店の前に雑草が一本でもあれば副社長の一声で担当者が降格されるということが繰り返されていたからだそうだ。降格人事はビッグモーターではごく普通のことだったようで、それは店の営業利益をあげるためではなく、社内での権力構造を維持するために行われていたらしい。しかも、それは単に慣行として行われていたのではなく、同社の「経営方針」という正式文書の中に、「上司は部下に対する生殺与奪の権を持つ」と書かれており、降格人事を利用して部下を掌握することは、会社全体の方針だったらしいのだ。
生殺与奪の権を持つ、つまり、生かすも殺すも与えるも奪うも自由自在というのは、封建社会で身分上位の者が下位の者に対して持っていた権利で、そういうものがいまだに残っているのである。おそらくビッグモーターに限らず、ブラック企業と呼ばれる多くの会社がそうなのだろう。労働者を守る枠組みとして労働3法があるがそれでは不十分で、労働者個人の日常的な権利を守るような、そして労働者が気軽に利用できるような仕組みが必要なのではないかと、最近思っている。
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