反核のリアリズム(1)
私は以前、日本はアメリカの核の傘から出て、核兵器禁止条約を締結・批准すべきだ、さらに世界にその動きを広めていくべきだと書いた。その考えは今も変わらない。ところが、最近、ウクライナ戦争と関わって核抑止は有効であり、日本も核抑止力を持つことが必要だと論じる人も多い。でも、本当にそうだろうか。
ウクライナ戦争で核抑止力が機能しているというのは、プーチン大統領が核の使用もあり得るかのような発言をしながらも、実際は使用していないからだろう。ロシアが核を実際に使わないのは、NATOによる核の反撃を恐れているからだと見ているのである。でも、私の見方は違う。ロシアが核を使えば世界中からロシアに対する非難が集中し、現在はロシアに同情的な中国なども離反して、ロシアの国家としての存立さえも危うくなる、それを恐れているからだと思うのだ。
それに、ロシアがウクライナで核を使ったとしても、NATO側は核による反撃はしないだろう。そんなことをすれば、この戦争で核を使った国としてロシアと同列に見られてしまうし、歴史にもそのように記されるだろう。それにロシアからNATO諸国本土への核反撃の可能性も考慮しなければならず、場合によっては全面核戦争に発展する可能性すらある。そうなれば、放射能が全世界に拡散し、世界は甚大な被害を受ける。
このように考えてみれば、現代の世界で核兵器を使用することなど、不可能なのである。現在の核兵器は過去の米ソ対立の時代に配備されたもので、確かにその時代には核抑止という考え方がそれなりに意味を持ったことは私も認める。しかし時代は変わった。我々はそれを認識し、リアルな目で世界情勢を見つめるべきなのだ。
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