反核のリアリズム(5)
岸田首相の地元広島で、G7首脳会議、いわゆる広島サミットが行われ、広島を訪れた各国首脳は岸田首相の案内で広島の原爆資料館を見学したという。これはいいことだ。一国の首脳レベルになると、どうしても核兵器をその威力とか、効果というマクロな視点で考えがちになるのだろうが、それを1人1人の被爆者というミクロな視点で認識するきっかけにはなったはずだと思うからだ。それを今後どのように活かせるかは、それぞれの首脳の資質にかかっている。
しかし、首脳達が核兵器に関してまとめた「広島ビジョン」については、賛同できない。この文書の中で首脳達は核兵器の廃絶を「究極の目標」と呼び、「核兵器は…、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、戦争及び威圧を防止すべき」と書いているからである。これはいわゆる核抑止論を首脳全員が認めたということで、核兵器肯定論に他ならない。核兵器の肯定論などを「広島ビジョン」と銘打って発表して欲しくはなかった。そんなことをするくらいなら、原爆資料館の見学だけで、共同声明など出さない方がよかったと思うのだ。
それに「広島ビジョン」を読んでみると、執拗にロシアや北朝鮮、イランなどを非難する文言が並んでいる。しかし、その場に参加していない国々を非難して何の意味があるのか。私の印象としては、井戸端会議でその場にいない人の悪口を言い合って溜飲を下げている人々のゲス根性と何ら変わらない。
もし意味のある「広島ビジョン」を出したかったなら、「我々は核兵器の悲惨さを再確認した」「核保有国は非核保有国に対して核兵器を使わない」という、ただそれだけの宣言を出せばよかったのだ。
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