2023/11/29

              びわ湖幻想


 今朝、東京へ行く妻を米原駅まで送るために、朝の湖岸道路を走った。日の出の30分くらい前で、まだあたりは薄暗かったのだが、そのとき息を呑むような光景を見た。びわ湖のから立ち上る湯気が湖面を覆っていたのである。しかも一様に湖面に広がっているのではなく、そのモヤには濃いところと薄いところがあって、まるで海底から伸びる海藻が水に揺らいでいるかのように、空中に揺らいでいたのだ。その高さは10メートルか20メートルはあったのだろうが、見た目にはもう少し低く、私の背丈より少し高い程度に見えた。

 今朝はとりわけ寒かったので、空気より温かな水から立ちのぼる水蒸気が凝結して湯気になったのだろう。こういう現象は彦根城の堀ではたびたび見たことがあるが、びわ湖全面がこんな風になっているのを見るのは初めてで、私はその壮大なスケールに圧倒された。もし、妻を送っていく途中でなければ、私はどこかに車を止めて、10分でも1時間でも見入っていたことだろう。写真もいっぱい撮ったに違いない。でも残念ながら今朝は電車の時刻に間に合うように妻を送らなければいけないので、運転席からほんの数十秒間見ただけだった。

 そして、帰りにゆっくり見てみようと思った。ところが帰り道に見たところ、先ほど見たような圧倒的な光景は見られなかった。たしかに湖面から昇る湯気は見られたのだが、規模が小さくなって先ほどの名残りという程度だった。もう少し待っていればという期待もあったが、車を止める場所もなかったのでそのまま帰った。

 でも、私はあきらめてはいない。今朝と同じような気候条件の日があれば、防寒具も整え、温かい飲み物も持って、もっと早い時間帯から見に行こうと思っている。

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