タモリの言語感覚
NHKに「ブラタモリ」という番組がある。その中で私はタモリの発言に違和感を感じた。それはタモリが前橋市の臨江閣という建物を訪ねたシーンである。この建物は明治天皇を迎えるために土地の有力者がお金を出しあって建てたのだそうだが、その立派さに関わってタモリが「天皇が来るんだからさあ」と言い、さらに建物の窓から見た庭園のきれいさに感動して「明治天皇もこの景色を見てたんですねえ」と言ったのである。
普通、私たちは天皇や皇室の人々のことを言う場合、敬語を使う。敬語を使えば「来る」ではなく「おいでになる」「いらっしゃる」となり、「見る」ではなく「ご覧になる」となるはずなのだ。そういう言い方がテレビなどでは普通になっているように思う。でも、タモリは「来る」「見る」と言ったのである。なぜタモリはこのような言い方をしたのかはわからない。彼に何らかの信念があって意図的にこういう言い方をしたのか、彼が普段からそういう言い方をしていて、それが無意識的に出たのかは分からないということだ。
天皇に敬語を使うべきかどうかについてはさまざまな考え方があるだろう。私自身は日本語に敬語表現が存在することや、その前提として身分の上下という感覚がこの社会にあること自体が問題だと思っている。さらに敬語で語ることは、相手を祭り上げてその自由を制約し、結果的に相手の人権を奪うことにもつながりかねない。これを機会に敬語について考えてみたいものだ。
それにしても、撮影現場にいたディレクターや番組の編集に携わった人はどう考えていたのだろうか。タモリの発言に気が付かなかったのか、タモリを尊重してそのまま残したのか、興味あるところだ。
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