逸失利益という差別
大阪で交通事故死した聴覚障害を持つ11才の女の子の損害賠償裁判で、大阪地裁は聴覚障害者は健常者よりも生涯賃金が低いからと、逸失利益を健常者の85%として計算するという判決を出した。それに対して、遺族は「裁判所が差別を認めたと思うと悔しい」と語っているという。障害を持ちながらも11年間懸命に生きてきた自分の子供が、他の子供達よりも劣ると言われたのに等しいのだから当然だろう。
しかし、客観的なデータからすれば障害者の賃金が健常者より低いのは事実だろうから、現存の法体系や社会常識に基づいて判決を下さなければならない裁判所としてはやむを得ないのかもしれない。問題は逸失利益によって賠償額を決定するという現在の法律なのだ。この法律に従えば、被害者の学歴や平均給与、社会的地位、性別などによって賠償額が変わってくることになる。だから、逸失利益によって賠償額を決めるという現在の法律は差別の存在を公認している、というよりも法律が差別を規定していると、私は以前から批判してきた。それに、利益を失うのは被害者本人なのに、遺族が代わって補償を受ける取るというのもおかしい。
だから逸失利益によって賠償額を算定するというやり方は廃止すべきだ。遺族が受け取るべきは賠償ではなく慰謝料である。そして慰謝料は逸失利益とは無関係であるべきだ。このように言うと、それなら一家の働き手を失った場合の生活保証はどうなるのかということになるが、そういう場合に備えて、災害や事故、犯罪の被害者遺族に対する公的な補償制度が整備されるべきだと私は考えている。それは法体系を大幅に変えることで難しいのは分かるが、差別をなくすためには必要なことだ。
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