月冴えて
月冴えて 北斗も冴えて 道凍る
これはもう何年も前に私が詠んだ句である。たぶん、1月の中旬頃だったと思うが、何日も雪が降り続いた後、素晴らしい晴天の日があった。その日の深夜、家の玄関を出てみると、西の空の低いところに半月よりは少し細目の月が出ていて、その反対方向の空にはくっきりと北斗七星が見えた。ここ彦根の空は宵のうちは街の灯りのために見える星の数が少ないのだが、さすがに深夜ともなると空も暗くなって、たくさんの星が見えた。そんな中で北天に大きく広がる北斗七星は、ひときわ明るく立派に見えたのである。
放射冷却のために気温はどんどん下がっているように感じられた。厚着をしていたせいだろうか、体全体はそれほど寒いわけではないのだが、耳たぶや頬に触れる冷気はピリピリと肌を刺激してきた。
家の前を少し歩いてみると凍った雪がザクザク音を立てた。私の家は大通りから百メートルほど入った住宅街にあるので、大通りの様子を直接見ることはできないが、道の両側には除雪で寄せ集められた雪の壁ができていたはずだから、それが日中の太陽光に融けて道へ流れ出し、道の表面は水に濡れていただろう。それが凍って、道はもうツルツルになっているのではないか。そんな想像も交えながら詠んだのがこの句である。
寒い冬はイヤだという人も多い。でも私はこういう張りつめた空気感が好きだ。だからこそ、こういう句も浮かんでくる。でも、今年はまだこういう情景を体験していない。たいてい空に薄雲があって見える星の数が少ないのだ。厳しい冬空の、満天の星を見てみたい。
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