「根明け」の理由
冬、樹木の周りに降った雪は、降った直後は樹木の根元までほぼ均等に覆っているのだが、雪が止んで数日経つと樹のまわりから溶け始め、1週間もすると木の幹の周辺だけ雪がなくなって地面が露出した状態になる。このような現象を俳句では「根明け」というらしい。
その後、歳時記を見ていたら別の説明があった。幹が黒い樹木は太陽光を吸収して幹の温度が上がり、幹が白い場合は太陽光を反射して周囲の雪を溶かすからだという。これがどこかの大学教授の説として紹介されていたのだ。しかし、「根明け」周辺の雪の盛り上がり方などから考えて、この説も間違いだと私は考えていた。
そしてある時、私は決定的な答えを見いだした。そのきっかけは林の中の大きな岩の周囲も同じように「根明け」しているのを見たことだ。そして注意して見ると、樹木や岩だけでなく、電柱の根元もブロック塀の根元も、日当たりでも日陰でも「根明け」していたのだ。それを見た途端、私には答えがひらめいた。
詳しく書く余裕はないが、「根明け」は樹のまわりの雪が溶けて起こるのではなく、周囲の雪が溶けながら収縮する結果として起こるのである。雪が融けて雪に含まれていた空気が排出されると雪は大きく縮む。そのとき水分子どうしの間には分子間力が働くので雪は塊になるが、樹木と雪の間には力が働かないので、雪と樹の間に隙間ができるのだ。これが「根明け」なのである。
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