あさきゆめみし
最近夢を見ることが多くなった。夜中でも朝でも、目が覚めた時にはしばらくその夢の余韻に浸っていることがある。しかしその夢はいつまでも記憶に残っているようなものではなく、5分もすれば何の夢だったかも思い出せなくなるという程度のものだ。夜だけではない。昼、居間のソファーに横になって窓の外の景色を眺めていると、つい眠ってしまうことがあって、目が覚めた時にも、何かの夢を見ていたような感覚だけが残っている。
実はこのソファーは10年ほど前に死んだムーという犬が好きな場所でもあった。ムーがこのソファーで眠っている時、私がその横に座って滑らかなムーの毛を撫でてやることがよくあった。そんな時、ムーのまぶたがピクピクと小刻みに動いていたものだ。それを見て私は「ムーは夢を見ているのだな」と思った。
睡眠には夢を見ずにぐっすり眠っているノンレム睡眠と、夢を見ていて、まぶたの中の眼球がピクピク動くレム睡眠があるのだそうだが、ムーは今、レム睡眠なのだなと思ったわけだ。そして今、私が同じソファーでムーと同じようにレム睡眠を楽しんでいるわけだ。
夢には恐ろしい夢や悲しい夢もあって、そういう夢は記憶に残るが、何気ない夢はすぐに忘れてしまう。そういう夢は幸せな夢なのだろう。たぶん、あのときムーは幸せだったのだろうし、今の私も幸せなのだ。
いろは歌には「浅き夢見し、酔ひもせす」とあるが、人生は夢の連続だ。また、Row Your Boatという歌は、Row row row your boat, gently down the strem, Merrily merrily merrily merrily Life is but a dream(流れに沿って愉快に陽気にボートを漕げ、人生はただの夢さ)と歌っている。私は今、夢を見ながら人生の川を漕ぎ下っているのである。
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