セミたちの夏
連日猛暑日が続き、我が家はセミの大合唱に包まれている。朝6時前、朝日が家々の壁を照らし始める頃、それは不意に始まる。まず一匹が鳴き始めると、それを待ちかねていたかのように、あちこちで一斉に鳴き始めるのだ。羽根もお腹も振るわせて全身で鳴いているセミの姿には見る者を圧倒するような迫力がある。
耳を聾するようなということばがあるが、まさにその通りの大音響だ。それもそのはず、その数がまたハンパではないのだ。我が家の庭のトネリコの樹にとまっているセミの数を数えたら50匹以上がいた。近くの柿の木にも同じくらいいるらしい。柿の木は葉が密集しているので数は数えられないが、常時2,3匹が葉の間から飛び立って周辺を飛び回っており、5秒か10秒するとまた葉の間へと戻っていく。
けれどそのセミの声も朝10時過ぎになると弱くなってゆき、11時頃にはピタッと鳴き止む。さすがのセミにも、この暑さはこたえるのだろうか。セミが鳴き止むとこの住宅街はウソのような静寂に支配される。耳を澄ませても何も聞こえない。それは不思議な感覚である。
セミは土の中で何年も幼虫時代を過ごし、土から出て成虫になる。注意深く観察していると、朝7時頃、セミが脱皮する様子を見ることができる。ヨボヨボと樹の幹を昇ってきた幼虫が動かなくなり、やがて背中が割れて濡れたような緑色の縮れた羽根の成虫が少しずつ出てくる。そして1時間もすると羽根にはまだ緑色も残っているものの、一人前のセミになって飛び立つ。そして交尾相手を求めて全身を振るわせて鳴き始めるのだ。こうして命を輝かせながら短い夏を過ごすセミを見ると、生命の神秘にを思わずにはいられない。
| 脱皮直後のセミ(まだ羽の色が緑色である) |
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