2023/07/17

              アメリカへの愛憎

   

 日本は過去に2度、アメリカによって国家の存亡の危機から救われたことがある。

 その1回目は、ペリーが黒船で来航したときである。当時はイギリスやフランスがアジアに植民地を広げようと競い合っていた時期で、10年ほど前にはアヘン戦争が起こっていた。そんな中で、日本が開国し国防力を強化しなければやがて植民地にされてしまうということを日本人に自覚させたのがペリーだった。

 そして、2回目は日本が太平洋戦争に敗れて、アメリカの支配下に入ったときである。日本はアメリカに戦争を仕掛け、多大な被害を与えたにもかかわらず、アメリカは寛大で的確な占領政策をとり、それによって日本は過去の軍国主義や封建社会のしがらみから解放された。もし日本を占領したのがアメリカでなければ、今日の日本はなかっただろう。

 だから日本が最も感謝すべき国はアメリカだ。さらにアメリカは偉大な人々が偉大な社会を作った国でもある。奴隷制度があった時代でも、心ある人々は身の危険を顧みず黒人たちがカナダに逃れるのを手助けしていたし、南北戦争では自分たちの血を流して奴隷解放を成し遂げた。それでもなお残る黒人差別に対しては公民権法を成立させ、着実に黒人の地位を向上させたのだ。その結果、黒人の大統領さえ誕生することになった。それは少数の先覚者だけの功績ではない。アメリカ社会が全体として成し遂げた偉業だ。

 しかし、アメリカは言いがかりをつけてイラクを攻撃し、他国の大統領を殺すという横暴な振る舞いをした国でもある。そして、今、アメリカ社会の分断で、偉大な社会が消滅するのではないかと、私は心配している。

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