「平年」ということば
テレビの天気予報を見ていたりニュースを見ていたりすると、気温が平年より3度高いとか低いとか、平年並みだとかいう表現を聞くことがあるが、みなさんは「平年」ということばの意味をご存知だろうか。私は長い間、その正確な意味を知らずにいたのだった。
私は「平年」というと「普通の年」のことだろうと漠然と考えていた。このような理解をしていると、ほとんどの年は「普通の年」だろうから、それより気温が3度高いということになれば、それは「特別の年」だという印象になる。しかし気象関係でいう「平年」とは「30年間の平均値」のことなのだ。「平均値」ということになれば、気温が高い年もあり低い年もあっての平均だから、それより3度高いからといって、ただちに特別な年ということにはならないわけで、平年と比べて高い低いと騒ぎ立てる必要はない。
そして、「平年」という言葉にはもう一つ別の問題がある。それは、地球温暖化の影響で平均気温が上昇し続けているので、「30年間の平均値」も時代とともに上昇していくということだ。たとえば、東京の熊谷の最高気温の「平年値」は現在は33.2度だが(熊谷では41.1度を記録したこともあるが、30年間で平均するとこうなる)、10年前の「平年値」32.5度だった。10年間で平均気温が0.7度も上昇したからである。だから「平年より3度高い気温」と言っても、10年前なら35.5度のことだったが、今なら36.2度ということになる。
こういうややこしい問題を含んだ「平年」ということばは使わないで欲しいと私は思うのだが、もしどうしても使う必要があるというのなら、誰にも分かるように易しく説明して欲しいものである。


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