2023/10/31

                                   インタビューで困ること


 私は「この人に会いたい」というラジオのインタビュー番組を制作しているのだが、そのインタビューで困ることがある。それは、インタビューの相手の配偶者をどう呼ぶかだ。相手が男性であれば、その配偶者は「奥さん」と呼ぶ。この「奥さん」ということばも元をただせば差別的な意味を含んでいるが、社会的に広く使われていることもあって、あまり抵抗感なく使うことができる。ところが、女性にインタビューしている場合、その配偶者を「ご主人」とか「旦那さん」と呼ぶのには、ものすごい抵抗感がある。これらのことばは、男性中心社会でのあきらかな差別用語だからだ。

 でもこれに変わる適当なことばはない。その人の名前を知っている場合は名前で呼ぶが、知らなければどうしようもない。英語ならごく自然に「ユアハズバンド」ということができるが、日本語で「あなたの夫」と言うのは失礼な感じがする。だからといって「夫さん」では、マンガだ。こんな言い方をしたら「私の夫はオットセイじゃありません」と叱られそうだ。もちろん「配偶者さん」でも「連れ合いさん」でもダメだ。一般の放送ではどう呼んでいるのかと注意して聞いているが、あまりそういう場面には行き当たらない。だから配偶者の話は避けることが多いのだが、どうしても必要な時は仕方なく「旦那さん」、「ご主人」と呼んでいる。

 似たようなことは私の個人的な生活の中にもある。結婚してからずいぶん長い間、私は自分の妻のことを「家内」と呼んでいた。「妻」などということばを使うのが気恥ずかしかったし、世間的には「家内」の方が通りが良かったからだ。その私が自分の妻を「妻」と呼ぶようになったのは、ほんのここ10年ほどのことである。

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