民族主義に反対
私がまだ小学生だった頃、NHKで国民の愛唱歌を作ろうというキャンペーンが行われた。愛唱歌にふさわしい歌詞を一般から募集して3編を選び、それにプロの作曲家が曲を付けてラジオで放送し、どれが最もいいかを視聴者の投票で決めようというのである。その中で私が覚えているのは2曲だ。その1曲は「国が桜の花ならば、1人1人が花びらだ」などというような勇ましい歌詞で、それに軍歌調の曲が付けられていた。こんなのは論外だと私は思ったのだが、これが一位となった。
私はどの曲も嫌いだったが、最もマシだと思ったのは「あなたも私も僕も君も、小さい昔が同じです。モンシロちょうちょに赤とんぼ…」という歌詞に、童謡風のメロディーが付けられた曲だった。私は日本人でこういう幼少時代を経験しているし、私の周囲の多くの人も同じである。しかしそういう人だけが日本人なのかと、私は小学生ながらもこの曲に偏狭な民族主義を感じた。
今にして思えば、この企画は右翼団体が発案してNHKがそれに乗せられたのだろうが、小学生だった私はこれは国家プロジェクトのようなものだと思い込んで、日本がまた戦前のような国になるのかと恐ろしく感じたものだ。どこで生まれ、どのように育った人でも、この日本の土地で幸せに暮らしていきたいと望む人はすべて日本人だ。もう少し正確に言えば、日本国憲法を受け入れるすべての人を日本人と認めるべきだ。本来、国家というのはある基本理念に即した法体系と、それに基づいた統治機構を持った集団のことだからだ。
最近、世界各国で民族主義が台頭し、右翼政党が支持を伸ばしているらしい。日本も例外ではないが、それに呑み込まれてはならないと、私は思っている。
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