2023/10/31

                                   ヒガンバナの異常


 「毎年、彼岸(秋分の日)の10日くらい前に最初のヒガンバナが咲く。その後、彼岸の1週間くらい前から次第に増えて、彼岸の頃に満開になる。その状態は9月いっぱい続き、10月に入ると急速に枯れてしまう。これはその年の気候条件とは関係がない。それが不思議だ」。私は長年そう思ってきたし、文章にも書いた。

 ところが、である。今年は彼岸の10日前になってもヒガンバナを見つけることができなかった。不思議に思って車であちこちを走り回ったが、それでも見あたらない。真っ赤なよく目立つ花なのに、である。結局、最初のヒガンバナを見つけたのは、彼岸の4日前のことだった。その後の経過も、例年より1週間ほど遅れて、満開になったのは9月末、しかも例年より数が少なく、場所によっては半分くらいしか咲いていないようだった。

 そんな時、新聞で「今年の夏は猛暑が続いたので、ヒガンバナの開花が遅れている」という記事を読んだ。実際、今年の夏は猛暑で、7月から9月にかけての平均気温は平年よりも2度ほど高かったという。でも、もしそうだとすると「ヒガンバナの開花は気候条件に関係ない」という私の認識が間違っていたことになる。

 そもそも、花の開花時期が気象条件に影響されないなどということは常識的には考えられない。特にヒガンバナの場合、日照時間より地温が影響するはずだからだ。だからこそ私は不思議に思っていたのだ。でも、今になって思えば「開花時期が気候条件に影響されない」というのは、「一定の範囲内なら」という限定条件付だったのかもしれない。もしそうだとすると、今年の猛暑は「一定の範囲」を越えてしまっていたことになって、最近の気候変動がますます不気味なことに思えてくる。

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