コップ一杯の水
水はH2Oと表される水の分子からできている。ところがその分子はきわめて小さいので、私たちが普段使う水には、とんでもない数の分子が含まれている。今、ここにコップ一杯の水があったとしよう。その水の分子がすべて米粒の大きさになったとしたら、その米の量はどれくらいになるだろうか。皆さんは、その答がお分かりになるだろうか。
コップ一杯の水は10モルという量で、その分子数は6かける10の24乗である。一方、私が計量スプーンで1ミリリットルの米粒を測り取ってその数を数えたところ、約40粒だった。それをもとに計算すると、10モルの米粒の体積は1.5かける10の17乗立方メートルととなる。これは途方もない量で、これだけの米を地球上にばらまいたとすると、地球の全表面を290メートルの厚みで覆うことになるのである。これには、計算した私自身が驚いてしまった。
そこで、私は高校の授業の中で、生徒たちにこの質問をした。すると、生徒はバケツ一杯分とか、トラック一杯分とか答えた。これがごく普通の感覚だろう。そこで私が「とてもそれくらいではすまないよ」と言うと、「東京ドーム一杯分」という答が返ってきた。その辺が想像力の限界かもしれない。しかし実際は東京ドーム(容積140万立方メートル)の100億倍で、東京ドームは地球表面にばらまいた米に軽く埋まってしまうのだ。
私たちは普段、そんなことは全く意識しないで生活している。もちろん、それはそれでいい。しかし、理科の教師としては、コップ一杯の水に6かける10の24乗の水分子が含まれることを突き止めた科学の凄さについても知って欲しいと思っている。
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