2023/10/31

                                   ケムシのこと


 私の家に縦30センチ、横40センチ、深さが20センチくらいのプランターがある。このプランターには、今は何も植えていないのだが、深さ10センチほどの土が入れてある。昨日たまたまその中を見たら茶色の大きなケムシがいた。長さは5,6センチで胴体の太さは1センチ程度なのだが、モジャモジャの毛が生えているので、見た目には2,3センチの横幅に見える。どこから入り込んだのかは分からないが、まるで出口を探しているかのように、プラスチックの外壁に添ってグルグル回っているのだ。外壁をよじ登れれば外に出られるのだが、滑ってしまうので登れないらしい。

 私はもともと毛虫は好きではない。以前、高校に勤めていた頃、桜の木の下で休んでいたら上から何匹かのケムシが降ってきて、思わずギャーと叫びそうになったこともある。庭の草むしりをしている時、知らずにケムシを掴んで刺されて、手のひらを赤く腫らしたこともある。そのときは、2,3日痛みが取れなかった。 

 さて、昨日はプランターのケムシをそのままにしておいたのだが、今日、もう一度プランターを見たらケムシはまだいて、昨日と同じようにプランターの外壁に添って走り回っていたのである。相当な速さだ。一周するのに30秒くらいしかかからない。昨日、私が見ていた時だけでも10周か20周は走っていたが、私が見ていない時も走っていたのだろうから、もう何百周も何千周も走ったに違いない。そう思うと私はこのケムシが不憫になったので、木の葉ですくい上げてプランターの外に出してやった。すると猛烈な速さで走って、枯葉の下に姿を隠した。そこで、私はケムシに言った。「一度は助けてやったからね。後はおまえ次第だよ」と。

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