栗本英世さん(3)
世界的に有名な遺跡、アンコールワットの前に座って、観光客に物乞いをするグッズちゃんという女の子がいた。その子は重度の障害者だったが、栗本さんが何度も話しかけているうちに、栗本さんに心を開くようになった。そして、栗本さんが学校作りをしていることを知って、「自分も勉強したい。そして学校の先生になりたい」と言ったのだ。栗本さんはグッズちゃんの変化を喜んで、彼女を自分の学校に受け入れることに決めた。
ところがその数日後、グッズちゃんが「やはり学校には行けない」と言い出したのである。その理由は経済的なものだった。グッズちゃんの物乞いで得た収入が彼女の一家の生活を支えていたのである。グッズちゃんが学校に行けばその収入が途絶える。だからグッズちゃんの家族は彼女が物乞いを続けることを望み、グッズちゃん自身もその思いを裏切ることができなかったのだ。
栗本さんによると、日本からの観光客は障害者であるグッズちゃんに同情して、いとも気軽に百円、千円のお金を恵んでやるのだそうだ。しかし日本とカンボジアでは貨幣価値がずいぶん違うから、それが一家全員を支えるお金になるのだ。だから観光客のそのような振る舞いがカンボジア人の自立を妨げてしまうのである。
このとき、お金を恵んでやる側はあくまでも善意からである。しかし、その結果として、恵まれる側の自立心や向上心が失われるだけではなく、人間としての誇りまで失われてしまう。だから栗本さんはお金を恵もうとする人を「慈悲魔」と呼んで、そのような好意を激しく拒否する。あくまでもカンボジアの人々自身が自立することが大切で、援助はその手助けだけでなければならないというのが栗本さんの考えなのである。
1月の記事
私の大失敗 テレビがうるさい 月は東へ火星は西へ 世界に一つだけの花
NATOの責任 サントスの脅威 犬を飼う資格 火災報知器が~
武村正義さん 栗本英世さん(1) 栗本英世さん(2) 栗本英世さん(3)
0 件のコメント:
コメントを投稿