2023/01/16

                                              盗まれた金魚


 私は一昨年の8月から去年の暮れまで、約100匹の金魚を飼っていた。植物性プランクトンが繁茂して緑色に濁った水(緑水)で金魚を飼えば、プランクトンが光合成で出した酸素で金魚が呼吸し、金魚が呼吸で出した二酸化炭素でプランクトンが光合成をすることによって、金魚とプランクトンが相互依存的な生態系を作ることを実証しようという目的からである。

 私は屋根のある駐車場の奧に並べた8個の水槽に金魚を分けて入れ、ネコなどに狙われないようにその上から金属網をかぶせて、何個かのレンガで網を固定した。その結果、私の目論見通り、金魚とプランクトンの生態系は順調に機能したようで、金魚は無事に成長していた。

 ところが、去年の8月のある朝、突然、金魚の数が半減しているのに気づいたのである。理由は推測するしかなかったが、水槽にかぶせた網がもと通りだったことから動物の仕業ではなく、誰か人間に盗まれたのではないかと感じた。そして去年の12月のある朝、今度は水槽にかぶせた網やレンガが周囲にばらまかれて、金魚が一匹もいなくなっているのを発見したのだ。網の上の重いレンガを動かしたのだから、そんなことができるのは人間しかいないと、今度ははっきり分かった。

 誰が、なぜそんなことをしたのかは分からない。金魚が欲しかったのか、私への嫌がらせなのか・・・。ちょっと気味の悪い出来事だった。

 金魚がいた頃、エサをやるために私が近づくと、足音を聞きつけた金魚たちが水面に浮かんで口をパクパクさせながら寄ってきた。今はそれもなくなったが、ついつい過去の習慣で金魚たちのいた場所に行って、金魚がいないことを再確認してしまう今日この頃である。

 


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