武村正義さん
私はたいていの政治家に対して厳しい見方をしているが、たったひとり尊敬している政治家がいる。八日市市長から滋賀県知事、衆議院議員になり、新党さきがけを率いて1990年代に野党連立政権、自・社・さきがけ政権を主導したものの、その後体をこわして引退し、昨年9月になくなった武村正義さんである。
私が武村さんを意識したのは全くの偶然からだった。私の教師仲間に武村さんの県知事選挙を手伝った人がいて、その人が私に「お前は考え方も性格も武村さんによく似ている」と言ったのである。当時、武村さんはムーミンパパというニックネームで呼ばれていたのだが、ムーミンは私も好きなキャラクターだったので、それに似ていると言われたのは私にとっても光栄だった。おまけに武村さんも私も同じ「正義」という名前だった。
その後、二人にはさらに共通点があることが分かった。武村さんは高校時代に新聞部長として、「日の丸君が代に反対する」という論説文を新聞に載せようとして、無期謹慎処分を受けた。一方、私は建国記念日に反対して同盟登校をして、停学処分になりかかった。どちらもリベラルな立場から国家主義的な政治に反対するという考え方から出たもので、後に私がこの話をした時、武村さんも私に興味を持ってくれたのだった。
私が武村さんを尊敬するのは、彼の政治行動の根底にあるリベラルな考え方と、それでいて既成概念やイデオロギーに捕らわれない自由な発想のためである。さらに、ムーミンパパという名前がピッタリの素朴な性格と気さくな雰囲気、そして大蔵大臣の頃、現職閣僚でありながらフランスの核実験場に乗り込んで反対デモの先頭に立ったという型破りの行動力を評価するからである。
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