栗本英世さん(1)
昨年の4月、カンボジアでボランティア活動をしていた栗本英世さんが亡くなった。人間はこんな生き方もできるのだと感じさせるようなみごとな生き方だった。
栗本さんは1951年、近江八幡に生まれた。家が貧しかったので、小学校の頃からアルバイトをして家計を支えたという。そのため友だちもなく、学校では孤立していたが、そんな栗本さんを支えたのは地域のキリスト教会だった。キリスト教会に通い始めた栗本さんは、キリスト教の理想である「人のために役立つ人間になる」という決意のもとに、体を鍛え始めた。
そして中学を出ると東京の職人さんのもとに弟子入りしたものの、これでは充分に人の役に立てないとそこをやめて、アルバイトをしながら多摩善生園というライ病患者の療養施設で入所者の介護をするようになった。
栗本さんは誠心誠意入所者に尽くしたつもりだったが、患者さんたちは心を開いてくれなかった。それに悩んだ栗本さんは、「自分は健常者だからどうしても患者さんたちを上から目線で見てしまう、それがいけないんだ。だから自分もライ病になろう」と、自分の腕に傷を付けて患者さんのウミを塗り込んだりもしたという。しかし、栗本さんは病気にはならずに介護を続けた。
その後、栗本さんは台湾の大学に入り、中国や東南アジアを巡りながら、自分に何ができるのかと自分のやるべきことを探し続けた。そして出会ったのが東南アジア諸国の貧しさと、そこで横行する人身売買の現実であった。それに心を痛めた栗本さんは、人身売買を根絶することを究極の目標とし、そのためには孤児を保護することや教育の普及が大事と考えて、現地の人々と協力しながら孤児院や学校の建設を始めたのである。
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