生命保守派
私の政治的な立場はリベラルで、最近世界的な潮流になっている民族主義的な右派の主張には批判的だし、環境問題にしても人権問題にしても、左派の主張に共感することが多い。日本では左右の対立が見えにくいが、アメリカの政党でいえば民主党寄りということだ。
ところが、生命倫理に関わる問題では、私の考えは右派=保守派の共和党に近い。その代表的な問題は女性の妊娠中絶を認めるかどうかだ。女性の権利を保障するために中絶を認めるというのが民主党、認めないというのが共和党で、最高裁を巻き込んだ争いになっている。
私は妊娠によって母体の生命が脅かされるような特別の場合を除いて、妊娠中絶は認めるべきではないと考えている。それは殺人だからである。受精した瞬間から、あるいは着床した瞬間から胎児は一個の独立した命である。それを他人の都合によって抹殺することは許されないと思うのだ。
このように言うと、「では強姦(強制性交)で妊娠した場合も中絶を認めないのか」という人がいるが、その通りだ。どんな事情で生まれたにせよ、命は命だ。こどもには何の責任もない。母親はその子に愛情を感じられないかもしれないし、実際に養育することができない場合も多いだろが、その場合は社会が責任を持ってその子を育てるという態勢を作るべきだと思う。
とはいうものの、難しい問題もある。たとえば、重度の障害を持っていて生きていくのが苦しみでしかないような子の場合や、生まれても数年で死に至るのが分かっているような子の場合である。昔なら流産になって、こういう子は生まれてこなかったはずだ。その場合にどうすべきかと聞かれても、私には答えられない。
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