犬を飼う資格
先日、車を運転していて、恐るべき光景に出会った。街から少しはずれた田園地帯の車道に犬の死骸があったのだ。その犬は交通事故に遭ったらしく、周囲の路面には血が流れていた。しかし、私が一番ショックだったのは、その犬は首輪をはめ、それにはリード(引き綱)が着いていたことだった。おそらく、飼い主に連れられて散歩している途中、ここで交通事故に遭ったのだろう。そして、飼い主がその犬を放置して帰ったのだ。
そのときは深く考えもせず、私は死骸を避けて走り去ったのだが、そのうちに気になり始めた。あのままでは、あの犬は他の車によってさらに二度、三度、轢かれるかもしれない。それではあまりにかわいそうだ。もう一度戻って、せめてあの犬を車道から動かしてやれないかとも思った。でも、それをする勇気はなかった。
そんな中で、飼い主に対する怒りがこみ上げてきた。愛犬が交通事故に遭ったのなら抱いて帰って獣医さんに診てもらうべきだろう。ケガをした犬を抱いたら衣服は血まみれになるだろうが、そんなことは問題ではない。犬の命の方がずっと大事だ。仮に即死だったとしても、連れて帰って葬ってやるか、せめて近くの草むらに寄せてやるべきではなかったのか、そう思ったのである。
私は、本来「資格」という言葉が嫌いな人間である。何かをするのに「資格」などは要らないと思っている。しかしこのときばかりは、この犬の飼い主に「お前なんかに犬を飼う資格はない」とののしりたくなった。最近、ペットブームで犬や猫を飼う人が増えている。それは悪いことではないが、飼う以上はちゃんと愛情を持ってやって欲しい。それぞれの飼い主は、自分にもペットを飼う資格があるのかと、自問して欲しいと思うのだ。
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