チコちゃんを叱る
最近私の周囲で、「チコちゃんに叱られる」という番組が人気である。そこで私はこの番組が面白いと言っているすべての日本人に聞きたい。「あなたは本当にこの番組が面白いと思っているのですか?」と。私は時折この番組を見ることがあるのだが、そのたびに腹立たしさしか感じないからだ。
あるとき、チコちゃんは「摺り下ろした山芋が付くと、口の周りがかゆくなるのはなぜ?」と聞いた。この問い自体は面白い。ところがその答えは「小さな針がいっぱい含まれているから」で、その答えが出たあとは全く別の話題に移ってしまったのだ。そのとき私は「針なのに痛くならずにかゆくなるのはなぜ?」「その針の正体は何?」「山芋にはなぜそんな針が含まれているの」などという問いが続くものと思っていたのだが、私の期待は完全に肩すかしを食らってしまったのである。
こんなふうに、何かの問いには必ず何かの答えがあるもので、それが納得できようができまいが、その答えが示されれば一件落着とするのが日本人一般の感覚であるらしい。いや、そもそも日本人には「納得」という概念がなく、模範解答を丸暗記することが、勉強することだと思い込んでいるようだ。高校の理科の教師だった私は何度もそれを痛感させられたものだが、これでは科学的思考など育ちようがない。
それに、「なぜ?」という問いには、さまざまな観点、さまざまなレベルからの答えがあるはずだ。なのに単一の観点からの論議だけで満足しているのでは、科学だけではなく、この複雑な社会の進歩も望めない。私は「チコちゃん、あんたが日本人の知性と社会をダメにしているんだよ」と、チコちゃんを叱りたい。
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