ガーシーの脅威
今年3月、参議院議員であったガーシーは、当選して以来海外に滞在し続け、一度も登院しなかったことで除名処分を受けて、議員を失職した。昨年春、彼は詐欺行為を告発されてドバイへ逃亡、そこで芸能人の私生活を暴露するYouTubeチャンネルを開設し、一時は100万人の登録者を獲得したという。その登録者数を買われてNHK党から昨年夏の参議院議員選挙に出馬し、約29万票の得票を得て当選した。ところが、帰国すれば詐欺罪で逮捕される可能性があるということで、帰国しなかった、とんでもない人物だ。
彼を入党させたNHK党の党首、立花孝志もうさん臭い存在であった。彼はNHKが放送にスクランブルをかけ、受信契約をした者だけにスクランブルを解除すべきだとの主張を掲げて2019年の参議院議員選挙に立候補し、当選したのである。国民の中にはNHKが政治的圧力を受けて国営放送化することを懸念する声があり、逆に、NHKは堅苦しいから嫌いだという視聴者もいるので、そういう層に受けたのだろう。私も最初の頃はある程度彼を評価していたのだった。
立花孝志の場合は、両親がともに不倫して家庭を放棄し、彼は小学生の頃からバイトで食いつないでいたそうだし、ガーシーの場合は父親がギャンブル依存症で借金を背負って自殺するという不幸な過去があったという。どちらも同情には値するが、だからといって彼らに政治家たる資格はない。それにもかかわらず、彼らが参議院議員になってしまったのは、政治家がまるで人気投票のように選ばれるネット社会の構造的な問題だろう。私は以前「サントスの脅威」という文を書いたがこれは「ガーシーの脅威」と言うべき事態である。
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