桜、2句
微風にも 幾億万の 花吹雪
長く学校に勤めていたからだろうか。桜というと私には入学式の花というイメージが強い。たいていどこの学校でも、校庭に一本や2本の桜の樹があるものだ。今年は開花が早かったので、もしかすると入学式の頃はかなり散っていたのかもしれないけれど、華やかな桜は入学をお祝いする花としてふさわしい。
青空を背景に満開の桜を見上げるのもいいけれど、たとえば彦根城などのちょっと小高くなった桜の樹の根元に腰を下ろして花吹雪を浴びているのもいいものだ。花びらは絶え間なく降り続けているのだが、ときおり、それまでの何十倍、何百倍の花びらが一斉に舞うことがある。たぶん微風に煽られてのことだろうが、樹の根方に座っているとその微風すら感じなくて、まるで魔法のように豪華な花吹雪を浴びる、至福の時のである。
葉桜や 早もツバメが 低く飛ぶ
彦根城の堀沿いには桜の木が植えられているのだが、それに混じって何本かの柳の木もあって、桜が満開の頃には柳も鮮やかな新芽に覆われている。やがて、赤っぽい額の部分とわずかな花を残して桜が散る頃には、桜の樹も鮮やかな新緑に変わってゆく。
そんなある日のことだ。一羽の鳥が桜の樹と柳の樹の間をすり抜けて、堀の水面すれすれに飛んでいった。その素速い飛び方からして、ツバメだったのではないかと思うのだが、こんな時期にもうツバメが来ているのだろうかと疑う気持ちもあった。ところが、それから1週間ほどして近くのコンビニの前で同じように飛び去る鳥を見た。そこは例年ツバメが巣を作るところだ。やはりあれはツバメだったに違いないと納得したのである。
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