鉄腕アトムから60年
今から60年前、私がまだ中学生だった頃、私はテレビで放映されていた鉄腕アトムやエイトマンのアニメに熱中していた。今の若い人はもう知らないだろうが、鉄腕アトムというのは天馬博士という天才科学者が作ったロボットで、10万馬力の力を発揮し、空を飛ぶこともできた。一方、エイトマンはアメリカ軍の研究所で作られた軍事用ロボットで、空を飛ぶことはできないけれど、人間の千倍速く走ることができ、人間の脳を移植した電子頭脳を持っていて自律的に動けるのだった。それを殺人兵器にしてしまいたくないと、研究所の技術者だった谷博士が外部に持ち出したものである。
アトムは「人間に危害を加えない」「人間の命令を守る」などというロボット憲章を守るように作られていたが、エイトマンはもともとが軍事用ロボットで、そのような制約には縛られていなかった。それでも、エイトマンに移植されたのは正義感あふれる刑事の脳だったので、悪事を行う心配はなかったのである。一方、エイトマン、つまり008号の前に作られた007号は、善悪の判断をせず命令通りに敵を倒すように作られたロボットだったので、すさまじい破壊力を見せた。
60年前、私がロボットアニメに熱中していた頃は自律型のロボットなど夢物語に過ぎなかった。ところがメカトロニクスが発達した現在、それに人工知能を搭載してどんな命令も忠実に実行するロボットが出現するのは時間の問題だろう。それは人間の形をしている必要はなく、たとえばドローンでも、形の違う複数のロボットの集合体でもよい。それが顔認識能力を使って特定の人物を探し出し、秘かに毒針で刺すなどということもできるようになるかもしれない。もう、そんな時代なのだ。
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