真っ赤な世界
もうずいぶん長く好天が続いていて、1週間ほど前に咲き始めた桜の花もほぼ満開になった。そこで、彦根市南部の田園地帯を流れる宇曽川沿いの桜を見に行こうと妻と二人で出かけた。期待通り、桜は青空に映え、桜並木のトンネルを歩きながら春の風情を満喫した。
宇曽川は田園の中に孤立した荒神山という山の麓を流れ、宇曽川と荒神山の間には、文化施設やけっこう広い公園がある。そして、この公園にはいくつもの小さな丘のような起伏があって、斜面は芝生に覆われている。その斜面では家族連れが思い思いにくつろいでいた。私たちも丘の一つに上って頂上にある東屋で休憩したのだが、そのうちに私は春の太陽を前身で浴びてみたくなって斜面に仰向けに寝転がった。
寝転がって上を見ると周囲の余分な物は全く目に入らず、視界の全面が青空である。ただ、近くで遊ぶこどもたちの元気な声だけが聞こえていた。私はしばらくの間、青い空間に吸い込まれそうな、青い空間を浮遊しているような感覚を楽しんでいた。
ところが、である。私がふとまぶたを閉じると、私の視界全体が明るい鮮やかな赤色に染まったのである。たぶん、閉じたまぶたを太陽光線が透過してくるのだろう。そして、この鮮やかな赤色はまぶたの中の無数の毛細血管を流れる血の、赤血球の色なのに違いない。このときまぶたを流れる血が鮮やかな赤色に見えたのは、紅葉した木の葉を透過光で見るととても鮮やかに、きれいに見えるのと同じ現象だろう。私のまぶたにはこんなにもきれいな血が流れていて、それは全身をも巡っているのである。私は自分がその血に守られているのだ感じて、しばらく幸せな気分を味わっていたのだった。
嘉田由紀子さん(3) 財布が戻ってくる国 桜、2句 三温糖と上白糖
前期長寿者 超管理社会(1) 著作権保護に思う 当世CM事情
0 件のコメント:
コメントを投稿