慎太郎の責任
私は最初、この文章を「慎太郎のバカ」というタイトルにしたかったのだが、あえて自制した。先に「尖閣諸島について」を書いているうちに、石原慎太郎への怒りが込み上げてきたからだ。最近、尖閣諸島を巡って日中間の軍事衝突さえ起こりかねない状況を作り出したのが彼だからである。
東京都知事だった石原慎太郎は、東京都が尖閣諸島を買うと言い出した。もし石原慎太郎がそこに日の丸を掲げ、反中国的な施設でも建設したら大問題になる。そこで、それを阻止するために、時の野田内閣は尖閣諸島を国有化した。つまり国有化は問題を拡大させないための手段だったのだが、国際的な常識では国有化ということは国家権力を前面に押し出すことに他ならないから、中国が反発したのも当然だった。石原慎太郎と野田内閣が裏で手を組んでいるのではないかという憶測もされたようだが、中国は軍事力を行使するような過激な反応はしなかった。おそらく中国政府部内に日本の事情を理解できる人物がいたからだろう。
同じようなことは、拉致被害者が北朝鮮から一時帰国した時にもあった。彼らをいったん北朝鮮に戻すべきだと主張した外交官の田中均さんの家に爆発物が仕掛けられた時、石原慎太郎は「爆弾を仕掛けられて当たり前だ」と、テロを肯定する発言をしたのである。この事実は彼の政治倫理がどの程度のものかをさらけ出したと言えよう。さらに1990年代から北朝鮮との交渉パイプを築き、日朝首脳会談を実現させた田中さんを否定したことによって、残りの人質を帰国させるチャンスも、日本が極東で政治的主導権を握る千載一遇のチャンスをもつぶすという政治オンチぶりをも示したのである。
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