自虐の世代
タイガース 勝ってる時は 落ち着かん
これは半月ほど前に毎日新聞に載っていた川柳だが、久しぶりによい句を読んだと思った。タイガースが勝っている時は、次ぎ負けるのではないかと気が気ではないという意味だろう。私はタイガースファンではないが、こういう気持ちはよく分かる。同じような心理は誰にでもあることで、それをタイガースに仮託してうまく表現している。その後しばらくこの句のことを忘れていたが、昨日この句が月間最優秀賞に選ばれたという記事を目にしてうれしくなり、この文章を書き始めた。
私は一時期、川柳に興味を持っていた。微妙な人間心理を短いことばで表現するのが魅力的に思えたのだ。しかし、私は半年か1年ほどでその興味を失った。新聞で目にする川柳のほとんどが自虐ネタだったからだ。しかも、その作者はほとんど老人であるらしく、自虐の多くはグチっぽい老人の自虐だったのだ。毎日こんな自虐的な句を読んでいると、私までうっとうしくなってきて、私はいつしか川柳を読まなくなっていった。
それにしても書いている本人はこんな句を書いて楽しいのだろうかと、よく思う。年寄りのグチや自虐は今に始まったことではないが、現在の70才、80才といえば、高度経済成長の時代に生きて、活気のある日々を送ってきた人たちのはずだ。大人から「今の若い者は」と言われながらも、自分達の文化を創った。60年安保、70年安保という政治運動も経験し、新しい世界、新しい明日を夢見た人も多いに違いない。当時のチャレンジ精神は一体どうなってしまったのか。自分を粗大ゴミになぞらえて自虐にふけり、そういう句が新聞に載るのを喜んでいる、そういう老人たちが情けない。
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