袋だたきの好きな国
最近、芸能界を巡るふたつのニュースでマスコミが湧いている。そのひとつはジャニーズプロダクションのジャニー喜多川氏が、その地位を利用してプロダクション所属の若いタレントに性行為を強いたという事件だ。そしてもう一つは歌舞伎俳優の市川猿之介がMという男性と同性愛の関係になり、それが週刊誌で暴露されそうになったので、自分の両親とともに自殺を図って、彼だけが命を取り留めたという事件である。
事実として正確かどうかは分からないが、ある記事の中に、猿之介の主演映画を制作していた会社が俳優を変えて撮り直しをするのに35億円もかかる。その賠償を猿之介側に請求するはずだという記載があった。しかし、なぜ映画を撮り直さなければならないのか、そしてその費用をなぜ猿之介に請求するのか。
以前から日本にこういう慣習があったことは私も知っている。しかし、俳優が不祥事を起こしたとしても、そのまま公開すればいいのである。もしかしたら不祥事を嫌って観客が減るかもしれず、その分は俳優側が負担すべきかもしれないが、まるで作品自体が汚いものであるかのようにお蔵入りにしてしまうのは筋違いだ。
今までも芸能人が薬物の使用で逮捕されたような場合、関係者はひたすら平身低頭して「世間にお詫び」するのが常だった。でも単なる個人の罪を、被害者でもない「世間」になぜ「お詫び」しなければならないのか。しかも本人ならともかく、関係者が、である。「世間を騒がせた」と言うが、世間が勝手に騒いだだけで、それに火をつけたのはマスコミやゲス根性の人々なのだ。
日本には「世間」から逸脱した人を袋だたきにする風習が昔からあったが、もういい加減にして欲しい。
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