フェイクニュース
フェイクニュースということばは、最近ではごく普通に使われているが、比較的新しいことばだと思う。私が初めてこのことばを聞いたのは2016年のアメリカ大統領選挙前に、当時はまだ大統領候補だったトランプ氏がしきりにこのことばを使っていた時だった。そのとき、私はトランプ氏が自分に都合の悪いニュースはフェイク(ウソの)ニュースだとして言い逃れようとしているのだろうとは思ったが、彼がこのことばを多用する背景には彼自身が日常的にフェイクニュースをまき散らしていて、彼にとってはそれが身近なものだったからだというところまでは気づかなかった。
それがはっきりしたのは、2020年の大統領選挙後だった。敗れたトランプ氏が、各地の開票所で大量の票が不正に盗まれたと主張し、FOXニュースがそれを事実として報道したのである。その中には票の自動集計機で不正が行われたという主張もあったので、集計機を納入したドミニオン社はそれは事実無根で、虚偽の報道によって名誉が毀損されたとして2000億円の損害賠償を求める訴訟を起こした。それに対してFOX側は、裁判所が事実認定に入る前に、1000億円の和解金を払って和解した。事実認定が行われれば、報道のウソが客観的に確定されることを恐れたのであろう。
信じがたいことだが、アメリカの大放送局が長期間に渡ってウソのニュースを流し続けたのだ。私たちはマスコミの公正さを疑うことはあっても、意図的にウソのニュースが流されるという事態は想定していないが、もはやそのような前提で無批判にニュースを受け入れることはできなくなった。だからといって私たちにできることも少ないが、注意だけは怠らないようにしたい。
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