2023/05/15

                                      感動の航海者


 最近興味深い記事を読んだ。数年後に予定されていたボイジャー2号の観測機器のシャットダウンを何年か延期されるというのだ。私はそれに感動した。

 1977年、木星や土星、天王星、海王星などを観測することを目的として打ち上げられたボイジャー2号は、今、太陽系から200億キロも離れた宇宙空間を航海している。地球と太陽の距離1.5億キロの133倍だ。地球と太陽の距離を10cmとして図を描いた場合、ボイジャーは13m先に描くことになる。1秒間に地球を7回半も回る光や電波でも18時間半もかかるという距離である。ボイジャー1号もほぼ同じ距離だ。

 私が感動した第1の理由は、こんなに遠くに離れてなお通信が維持されているということだ。普通に電波を発信した場合、電波は距離の2乗に反比例して弱くなる。だからこの距離では、月と地球で交信する場合の100億分の1くらいになってしまう。そうならないようにするには特定の方向だけに電波を発信するアンテナを使わなければならないが、しかし、それは逆に言えば、それだけ精密にアンテナの方向を制御しなければならないということだ。もちろん、地球まで届くような電力で発信することや、地球から届いた微弱な電波を受信できるような受信機の感度も必要である。こういうことすべてを50年前の打ち上げ時に想定して設計しており、その設計通りに機能しているのは、すごいことだと思う。

 感動の第2の理由は、ボイジャーの航海する宇宙の温度は絶対零度に近く、さらに50年間、宇宙線にさらされ続けてきたはずなのに、このような環境のもとでも観測機器や通信機器が正常に動作していることである。NASAの科学者や技術者、つまりは人類に乾杯だ。

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