ものの見え方
| 支柱と円環の影 |
私の家の玄関前に幾鉢かのバラの植木鉢がある。どれも妻が育てているバラだが、その一鉢に4本の支柱が立てられたものがある。直径30センチほどの植木鉢に高さ1メートルほどの4本の支柱が立てられていて、それらは高さの違う3本の水平な円環で固定されている。ある日の朝、斜めから差す太陽光でその円環の影が玄関の敷石に移っているのを見て、ふと疑問を感じた。その影がほぼ完全な円形だったのである。
「アレッ? 太陽の光は斜め方向から当たっているのに、なぜ影は楕円形に写らないのだろう?」と私はふしぎに感じた。こんな完全な円形の影が映るのは、太陽光線と玄関の敷石の角度がこの瞬間、何かの特定の条件を満たしているのだろうか? もしそうだとしたら、それはどんな条件だろうか? と考えてみた。でもどう考えたらいいのか分からなくて、しばらくはその答えが見つからなかった。
ところが、2,3分後にハッと気づいた。その円環に密着させて画用紙を置いたらその影は当然丸い。画用紙を水平に保って1センチ下へ動かしたら、影は少し横へずれるだろうが、丸いままであるに違いない。その紙をもっと下げても紙が水平である限り影は丸いだろう。それなら、1メートル以上下の玄関の敷石に映る影も丸いのは当然だ。……問題は太陽光線の角度ではなく、円環と影を映す面の角度なのである。
私は普段この円環を斜め方向から見ていたから、円環は楕円形に見えていた。だから斜め方向から当たる太陽光線が作る影も楕円形になるものと思い込んでいたのだ。その思い込みが間違いのもとだった。日常生活で同じような間違いは他にもあるに違いない。
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